【薄桜鬼】暗殺者『桜姫』其の弐 (ページ25)

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△第陸拾伍章▼ ページ25

土方「何者かに襲われた…深手を負って、まだ目を覚まさない」

君菊「！」

千姫「何者かって？もしかして、風間達？」

風間…

その名前に皆ハッとする

沖田「風間、か…ありえるよね」

あの憎たらしい顔が脳裏に浮かぶ

千姫「桜宮家は、伝説の鬼だと言うことは知っていますか？」

近藤「承知している」

原田「おまけに風間の奴らに命を狙われているな」

永倉「千姫さん達は、違うのか？」

君菊さんは頷く

君菊「確かに伝説の鬼の血が、私達鬼や人間の気を狂わせたのは事実です。でも、その争いを止める為に伝説の鬼を殺すのは間違ってるというのが、私達の考えです」

千姫「伝説の鬼には、何の罪もないもの…ただその血を受け継いできただけ。まして、Aちゃんなんて自分が伝説の鬼だって知らなかったはず…なのに、命を狙われないといけないなんて…」

千姫は俯いていた顔をあげ、千鶴ちゃんの方を見た

千姫「目を覚まさないの、今日でどれくらい？」

千鶴「…3日くらい」

千姫「そう…伝説の鬼の場合、何も飲食しないでだいたい1年は生きられるけど、あまり長いと寝たきりになってしまう可能性がある」

君菊「治療法は、申し訳ありませんが私達にも分かりません…」

千姫「早く無事に目を覚ますのを祈っているわ」

翌日、鬼の襲来があったけど、何とか守りきった

Aの事を聞くと、何も言わずニヤリと笑っただけだった…

あれからしばらく経ち、
不動堂村屯所に移動した頃

Aはまだ目を覚まさない…

もう8ヶ月が経過している

沖田「ケホッケホッゴホッ」

おまけに僕の体調も良くならない

さらに、労咳は移る可能性があるからって、千鶴ちゃんと山崎くんがなかなかAに合わせてくれない…

ひと月に2回程度顔を見れるかどうか…

部屋は隣なのに、なんだか寂しいに似た感情がこみ上げてくる

すると、襖に人影が移る

ゆっくりと開かれると、懐かしい姿が…

凰翔「やあ総司、元気か？」

沖田「！？」

凰翔「な～んてね。千鶴って子から話しは聞いたよ…とりあえず、Aの治療してあげないと。来る？」

僕は頷いて、隣の部屋に入った

沖田「治療法わかるの？」

凰翔「ああ、つい最近知った。Aにとっては最悪の目覚めになりそうだけどな」

と、刀を抜き、自分の腕を少し斬った

流れる血を口に含み、Aに口移しする

その光景に呆然とする僕…

それを3回ほど繰り返すと

A「ん…ケホッケホッ…ハァハァッ」

沖田「！」