大丈夫だよ、大丈夫

第003句 side真島太一 ページ5

無言の帰り道。

千早に『太一はAちゃんと家隣なんだから、きちんと送ってよね！！』なんて言われたからAと帰ってる。

さすがに真っ暗の中、隣の家なのに1人で帰らせるわけにもいかない。

....さっさと帰ろう。









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｢ねぇ太一。｣

急に制服をグッと引っ張られた。

｢.....なんだよ。｣

何を考えているかわからない。

その笑顔は何を意味している？









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｢私に負けてほしい？

千早ちゃんに勝ってほしい？｣





こいつは、何を言っている？





｢好きな子に負けてほしくない？

嫌いな奴に負けてほしい？｣

｢なっ！！｣





いつもの笑顔で、わけのわからないことを言いだした。







.








千早はクイーンになりたがってる。

負けてほしくない。

負けるはずがないけども。



｢...千早は、負けない。

お前なんかには、千早は負けない。｣


そうだ。

負けてほしくないとかじゃない。

あいつは、"負けない"。









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｢...そっか。

千早ちゃん才能スゴイらしいもんね。

私なんかに負けないか。｣


｢お前...。｣




言葉と表情が、あってない。

言葉はネガティブなのに、表情は笑ってる。

いつも通りに。



｢何...考えて.....｣

｢明日楽しみだね、太一。｣









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俺は千早よりもAがわからないと思う。

Aの笑顔が、わからない。

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