さんじゅなな。 ページ39
「加州っしっかりしろ!」
「!
…太鼓鐘…」
「隊長だろっ!
周り見ろよ‼︎」
「貞坊っ危ないっ!」
呆然と立ち尽くす加州に太鼓鐘が叫ぶ。
しかしその太鼓鐘の隙を狙い、検非違使の大太刀が襲いかかり、太鼓鐘を庇った鶴丸は中傷になってしまった後太鼓鐘も軌道を変えて襲ってきた槍の攻撃を受けてしまった。
「鶴さんっ貞ちゃんっ!」
「燭台切、乱、2人を連れて下がれ。
加州、行くぞ」
「え、でも…」
「加州さん危ないっ」
「⁉︎
乱っ」
加州の後ろを狙ってきた薙刀の攻撃を一度は防いだ乱だが、そのまま近くの壁に打ちつけられた。
「(っ…駄目だ、撤退しないと…!)
三日月…っ、太鼓鐘を!
撤退するよ。
殿は俺がやる…!」
乱を抱えて加州は進路を後退していく。
しかし全員が誰かを庇いながら後退していく為、中々進めない。
加州は応援を呼ぶか、このまま後退していくかを迷った。
「(救援要請出したところでっ…あいつは誰かを遣わすのか分からない)」
「三日月さんっ後ろ‼︎」
「おっと。
助かったぞ、燭台切」
「(…くそっ)」
「加州‼︎」
「、しまっt」
加州の不意をついた短刀が懐に入ろうとした時、ヒラ…と紅い蝶が現れた。
そして瞬く間に光を放ち、そこにいた部隊は消えた。
ーーーーー
「っ、…ここは、本丸?」
加州が目を開くと、そこは自分達の本丸だった。
「戻ってきたの…?」
「そのようだな」
「痛っ…」
「鶴さん…!」
「ここは…、本丸か?」
「ぅ……、荊さんの、においが、する…」
「(何が起こって…)」
『貞君』
「「「!」」」
音も無く現れたアイは他を見る事なく、太鼓鐘の近くにしゃがんだ。
太鼓鐘は気を失っているのか、反応は無かった。
「貞ちゃんっ…⁉︎」
「っ…ごめん、審神者…」
「皆んなぁ〜っ大丈夫ぅ〜⁈」
態とらしく息を切らして走ってきた見習いの夢。
「手入れ部屋開けたから行こっ‼︎」
「あ、血で汚れるからいいよ」
「でもぉ〜『見習いうるさい、さっさと手入れ部屋』えぇ〜っ」
騒がしさに顔を歪めながら、アイは指先から紅い蝶を出すと、その蝶はヒラヒラと太鼓鐘の口に触れ、消えた。
「、……ぁるじ…?」
『いい子、行くよ』
「ぎゃっ⁉︎」
太鼓鐘がゆっくり立ち上がり、アイは頭を撫でると、騒いでいる夢の髪を引っ掴んで歩き出した。
(いだいっ離してっ‼︎)
(あ、荊ダメだよ、引き摺ったら)
(あんさん怖いお人やなぁ)
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作者名：せーら | 作成日時：2022年8月14日 10時
