さんじゅいち。 ページ32
ユイ side.
玄関で呼びかけても誰も出てこない…。
人の気配はするんだけどなあ。
ライト君も消えちゃったしどうしよう。
「お邪魔します…」
誰もいない玄関に一応声をかけて上がった。
角を曲がり歩いていると、見知った紅い蝶が飛んでいた。
「あ、アイちゃんの蝶だ」
指に留まらせるとその蝶は羽をゆっくりパタパタした後消えた。
あ、そういえばここでは偽名を使えってアオさんが言ってたな。
アイちゃんは確か荊だったよね。
神隠しされるとかされないとか。
アイちゃん達は吸血鬼だけど大丈夫なのかな。
「はあ?」
「!
(あっ女の子!)」
赤い袴を来た女の子を見つけ、私は近付いた。
「あ、あの、荊ちゃんって何処にいますか?」
「(何でこんなブスが"私"の本丸にある訳⁉︎)
えー夢分かんなぁい!
部外者がここにいたら駄目なんじゃないのぉ〜?」
「え、いや許可は取ってるんですけど…」
「私聞いてなーい、って事ではいさよーならーっ」
「ちょっ⁉︎」
夢ちゃん?は話を聞いてくれず私を来た道に押していく。
そして角まで押された時、誰かとぶつかってしまった。
「いたっ」
「何してんの安定」
「あー安定君と清光君だ〜‼︎」
「わっ」
青い男の子と出会い頭にぶつかってしまい、更に夢ちゃんが私を後ろに押しやって尻餅を付いてしまった。
「こんな所で何してんの、見習い。
今は刀装作りの練習中じゃなかった?」
「あ、立てる?」
赤い男の子と夢ちゃんが話していると、ぶつかってしまった男の子が手を差し伸べてくれたので、素直に捕まり立たせてもらった。
「あ、ありがとうございます。
ぶつかってごめんなさい」
「全然いいよ。
君は主の知り合い?」
「はい、一緒に来た人もいるんですが「そいつならもうあいつの部屋に行ったよ」」
「清光」
「用があるなら案内してあg「ビッチちゃんみーっけ」!」
「⁉︎
びっくりした……ライt……君」
ライト君という前にアオさんの言葉を思い出して無理やりくっつけた。
ライト君の後ろからはアイちゃんもいた。
やった、会えた…!
「荊ちゃんっ…!
会えて良かったー!」
『きゃんきゃん言わないで、うるさい』
「んふっもう用事が終わったから帰るよ、ビッチちゃん」
「え、もういいの?」
『何してんの、見習い。
課題は?』
「うっ私分からなくて…」
『いつになったら覚えるの?
頭すっからかんな訳?』
side end.
(清光、この人誰?)
(……)
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作者名：せーら | 作成日時：2022年8月14日 10時
