にじゅに。 ページ23
翌日、アイは朝餉が終わったであろう時間に嫌々起き上がり、その不機嫌の色を隠さずに広間に向かった。
「おや、珍しく起きているのですね」
『…………』
「寝癖が付いてますよ」
アイの不機嫌さをものともせず、太郎太刀は彼女の寝癖に指を通す。
「おお〜審神者じゃないかあ!
いい天気なんだからそんな顔しないの〜」
続いて出てきた次郎太刀は兄同様彼女の機嫌をものともせず、その仏頂面をペタペタと触り出した。
「ほら、あんた元がいいんだから笑いな!」
『……はあ』
「さ、私たちも行きますよ」
アイは去っていく2人の背中を見ていると、腰元に何かが引っ付いた。
「おはよー、荊」
『…』
見下ろすとそこには、不思議と彼女に懐いてる蛍丸。
「太鼓鐘が迎えに行ってやってって言われたから来たけど起きてたんだね」
『…はぁ、あれはどこ?』
「見習い?
見習いならさっき広間に居たよ、行こ」
手を引いてくれている蛍丸に連れられるまま広間に行く。
アイと蛍丸が広間に着くと太鼓鐘は見習いと話していた。
夢は太鼓鐘に褒められたのか、彼に触れようとした。
しかし。
「!
えっ審神者さん⁈
びっくりしたぁ〜」
『…』
「お、主!」
触れる瞬間、アイは一瞬で移動してその手を捕らえた。
そして汚いものを見る目で夢を見る。
「痛いですぅっ…!」
「ちょっと審神者、離してあげなよ」
近くにいた加州はすぐに夢からアイを引き離そうとしたが、簡単に離れなかった。
「っ、やめなよ審神者!」
『……』
アイは加州を一瞥すると、掴んだものを捨てるように離した。
「酷いですっ」
『煩い。
早く昨日言った部屋に行って用意して。
あたしを煩わせないで。
……あんた達もさっさとやる事やりなさい、怠けるのはその後よ』
アイが珍しく饒舌に話すと、さっさと広間を出て行った。
「主置いて行くなよ〜!」
「俺非番だから荊と一緒にいよっと」
「僕も行く!」
「…乱、邪魔をしないようにね」
「国広ぉ、道場行こうぜ」
「あ、うん。
今日の相手は…」
傍観していた刀達もアイが出て行くとそれぞれの予定に合わせて動いて行く。
「…ほら、見習いも。
部屋行きな」
「か、加州さんっ…!
怖いから来てくれませんか…?」
「え。
ごめん、俺この後遠征入ってるんだ」
「私あの人怖いですぅ…」
((絶対行ったら睨まれるじゃん))
(主〜)
(荊〜)
((なんかおまけがいる…))
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作者名：せーら | 作成日時：2022年8月14日 10時
