【刀剣乱舞】蝶が舞い降りる時。 (ページ3)

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に。ページ3

ある日の夜。
乱は夜中に目が覚めてしまい、中々寝付けなかった。

「(ん〜眠れない…)」

身体を起こし、周りを見ると兄弟達が眠っている。
一期も部屋に戻る前に疲れたのか、そのまま眠っていた。

乱は周りを起こさないよう静かに部屋を出て、廊下を歩き出した。

夜も更けている為、本丸内はシン…と静まり返っている。

ひら…

「!
…蝶々…」

乱の目の前を通り過ぎたのは紅い蝶。

乱は蝶が通り過ぎた時に降り注いできた紅い光の粒に目を奪われた。

「きれい……」

その蝶を追いかけいくと、中庭の赤い橋がかかっている池までやってきた。

「!」

誰かがいた。
夜目が効く短刀であるため、その人物をジッと見つめた。

「(新しい…審神者だ…)」

審神者は橋の真ん中で手摺に凭れ、夜空を仰いでいた。
いつの間にか、紅い蝶が何匹も辺りを飛んでいる。

『……あたしに何の用?』

「っ」ビクッ

柳眉を逆立て、乱を見る冷たい瞳。

「…ぁ……っ、〜っ」

『…』

相手が小さいと認識した審神者は興味を無くしたかのようにまた夜空を見上げた。
乱はどうしようかと考えたが何も浮かばず、取り敢えず近くの縁側に座った。

「(加州さんの言った通り、なんか……偉そう?
…ていうか冷たいような……)」

観察していると、乱の側に紅い蝶がやってきて遊ぶように周りを飛び始めた。
ふわりと、上品な匂いが乱の鼻を掠めた。

ーーーーー

荊は凭れていた体勢を辞め、乱がいる縁側に近づいた。
乱はまた眠気がきたのか柱に凭れて眠っている。

周りに飛んでいた紅い蝶が1匹、彼の肩に留まっている。
荊は小さくため息を吐いて、乱を抱き上げた。

粟田口の部屋に静かに入り、乱が寝ていたであろう場所に寝かせ布団を被せた。

「……ゆき、ねえ……」

『……』

小さな寝言を溢した乱の頭を撫で、音も無く消えた。

ーーー

「乱、起きなさい。
朝だよ」

「んん…?
あれ…、いちにい…」

乱はハッと勢いよく起きた。

「あれ…、僕…」

「どーした乱?
早く行かねえと歌仙達に怒られるぞ?」

「え、…うん…」

厚に急かされた乱は、とりあえず布団を畳み始めた。

第一印象、優しい……?

(この布団から、あの審神者さんの香りがする…)