【刀剣乱舞】ずおとばみとゆきと ② (ページ7)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:92,648 hit

ごじゅうに。ページ7

A side.

ーーー気が付けば、水の中にいた。

ゴポポポ…

ーーー体が、沈んでいく。

ゴポポポ…

怖い。
それだけだった。
体は硬直して口から空気がどんどん抜けていく。
肺が痛い。

水面の明かりが小さくなっていく。

ーーーでも。

ーーーでも、この感覚……前にも…。

ーーこれじゃあ、犬死じゃねぇか…‼

犬死……。
違う。
あの人は、大切なものを守って死んだ。

そう思った瞬間、視界の端に何かが見えた。

ゴポポポッ‼

涙が出た。
残ってた空気を全て出してしまったことに気付かず、それに手を伸ばしたが、それはどんどん海底に沈んでいく。

ーーーダメっ、イヤだっ……行かないでっ……ーー君っ‼

誰かの名前…。
自分でも分からない。
私は、私のはずなのに……。

ゴポッ……

体から力が無くなっていく。

暗い。
冷たい。
痛い。
苦しい。

目が完全に閉じようとした時、ｸﾞﾝｯと腕を引っ張られたと同時に冷めた唇に何かが触れた。
引っ張られた腕から体温が広がっていく。

温かい。
私が私でいられるのは、この腕と唇に触れている熱。

帰りたい…。

想いが伝わったか分からないが、２つの影は冷え切った私の体を抱きしめてくれた。

ーー帰ろう、A。

ーーーーー
ーーー
ー

A藤四郎?

ああ。
かの有名な粟田口吉光が打った刀だ。

成る程。
流石斎藤さんですね。
俺は本物か贋物か、よく分からないので。

粟田口の刀については贋作が沢山あるらしいが、これはちゃんとしたA藤四郎だ。
大切にするといい。

俺が持っていていいのでしょうか。

君が持っていた物だ。
それに最初から使っていたのだろう?
なら折れる最後まで使ってやらねば、その刀も力を持て余すだろう。

あれ?
一君に山崎君じゃない。
珍しい組み合わせだね。
何してたの?

何でもない。
それより総司、もう見廻りの時間だろう。
隊士達を待たせるな。

ねぇ山崎君、何話してたの?

これから仕事がありますので俺はこれで…。

……へぇ。

睨むな。

(あ、今日は大和守さんがお供ですか?)
(うん、Aはこれから任務なんだよね、気を付けてね)
(はい!)