ななじゅうきゅう。 ページ36
数日が経ち、Aは漸く満足に動けるようになった。
「捻っても痛くねぇか?」
『大丈夫』
「雪姉の大丈夫はあんまり信用ならねぇんだが…」
『ひどーい』
「うぉっ⁈
やっやめろよ‼︎」
訝しげに見てくる薬研の頭を、Aはガシガシと撫でると彼は目元を赤らめて嫌がった。
『ありがと、薬研』ちゅ
「」
止めに可愛い弟の頬に口付けると、薬研は完全に固まった。
「みーちゃったあ」
『んむっ』
声が聞こえた瞬間、Aの身体に腕が巻き付き片手が彼女の頬を摘んだ。
「白昼堂々と浮気ですかあ?」
『怒ってるんですかあ?』
「認めるわけ?」
『まさかー』
鯰尾は未だ固まっている薬研の額に指を当て、ビシッと弾いた。
「いたっ‼︎」
「薬研、いち兄が例の性転換薬見つけたから探してたよ」
「げ」
額を抑えながら苦い顔をする薬研を置いて、鯰尾はAの手を引っ張って部屋を出た。
ーーーーー
『んんっ』
部屋を出て、人気がない薄暗い縁側に来たかと思えば鯰尾はAを近くの壁に押しつけて強引に口付けた。
吃驚したAは鯰尾から少し離れようとしたが、両腕が壁に縫い付けられてしまった。
ちゅっ…と音をたてながら彼女の口内を愛撫していくと、崩れ落ちそうになったAの腰に鯰尾は腕を回した。
『ぁ…、はっ…はぁ…』
「…」ﾑｽｰ
Aは濡れた目で鯰尾を見上げると見事に膨れている表情を見て、小さく笑った。
「なーに笑ってんの」
『んふふ、拗ねてるの可愛いなぁって』
と笑いながら言うと、今度はAから鯰尾に口付けた。
啄みながらの口付けを送っていると、パサ…と縛っていた鯰尾の髪の毛が彼の背中に散らかった。
『解けちゃった』
悪びれるわけもなく悪戯な笑みを浮かべながら言うと、鯰尾も同じような表情をして彼女を薄暗い縁側に押し倒した。
(いっ…、ずおっ…かまないで…!)
(いーや)
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作者名：せーら | 作成日時：2021年4月18日 22時
