ななじゅうはち。 ページ35
『…はぁ』
Aは片割れ達が内番に行った後、短刀達のおもりで縁側に座っていた。
なんせ走ったり出来ない所為で軽くストレスになっている。
「…雪」
『あ、叔父さん』
「暇なら一緒にやる…?」
鳴狐は持ってきたおぼんを置いた。
『これ何?
食べ物だよね』
「これは餃子というものであります。
鳴狐は炊事当番なのですが、何せ数が多い故」
『あ、じゃあ私厨まで行こうか?
ここじゃやりにくそうだし』
「長時間立ったままじゃ辛いでしょ…?」
『椅子があれば大丈夫』
「皆さまのおもりならこのわたくしにお任せを」
『そう?
あ、ずおとばみが帰ってきたら…』
「心得ております!」
『ありがとう』
「行こうか…」
鳴狐はAの手を握って、ゆっくりと立たせた後おぼんを持ち上げた。
ーーーーー
厨の中に入ると、鳴狐は椅子を作業台の側に置いた。
「おや、Aじゃないか。
手伝ってくれるのかい?」
『暫く何も出来ないので』
「仕方ないね。
でも人が多いと助かるよ」
「そうだね。
じゃあやり方は鳴狐君に教えてもらってね」
既に餡を包んでいた歌仙と燭台切の横で、Aは鳴狐に教わり始めた。
『難しい』
「そうだね」
不恰好な餃子が出来上がると、2人で笑った。
「歌仙達は流石だね…」
『しかも速い。
私が終わるまでに三つ出来てる…』
「僕達は慣れてるからね」
『それにしても何個作るんですか?』
「1人5個ぐらいだから300近くかな」
「そうだね。
おかわりをしてくる者もいるからね」
「焼くのも大変……」
『あ、破れた』
ーーー
皮包みを始めて少しした後、厨に誰かがやってきた。
「雪〜?」
『ずお、ばみ!
内番終わったの?』
「終わったよ〜」
片割れ達は、当たっていた内番…洗濯当番が終わり厨にやってきた。
両手を広げたAに鯰尾も応えるように抱きついた。
「これは何だ?」
「餃子を包んでる…。
雪が何かやりたそうだったけど、運動とかは出来ないから…」
「俺たちもやっていいですか?」
「勿論いいよ!
4人じゃまだ時間かかるからね!」
「雪のやつ歪だね」
『ばみー隣座って!』
「ああ」
「わーん無視しないでよー‼︎」
(ばみ綺麗に出来てる、いいなぁ)
(雪も綺麗になってきてる)
(あ、中身出ちゃった)
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作者名：せーら | 作成日時：2021年4月18日 22時
