ごじゅうなな。 ページ12
香奈 side.
数日前、Aちゃんが鯰尾君達とびしょ濡れで本丸に帰ってきた。
Aちゃんは意識が無かった。
「Aちゃんっ、大丈夫⁈」
「何があったの」
「海に落ちただけだ、特に問題無い」
「Aっ」
加州君が骨喰君に聞き、大和守君は隣でAちゃんに呼びかけている。
頬を軽く叩いても反応はなかった。
「…じゃあ俺たちは行く」
「まっ待って!
手入れしないと‼」
「必要ない」
「どうして⁈
火傷だって治さないとっ…‼」
「火傷はあんたの不注意で出来たものだ」
「っ」
「信用出来ない奴を近付けるわけにはいかない。
行くぞ、兄弟」
骨喰君は私を睨んだ後、鯰尾君とAちゃんを連れて奥に消えた。
「主、取り敢えず戻ろう。
報告しなきゃ…」
「…うん」
「僕、粟田口のみんなに説明してくる」
大和守君はパタパタと庭の方に走って行った。
恐らく粟田口の短刀達や一期さんがいるのだろう。
それにしても、私…。
「わたし、信用されてないのかな」
「まだ来たばかりだから、疑い深い奴らはね。
でも主の事信用してる奴らも多いんだよ?
俺も含めて」
顔を上げると、加州君は私の頭を撫でてくれた。
「あいつらは…、前にも言ったけど色々複雑なんだ。
もっと言ったら、Aが一番酷くてさ」
「ひどいって?」
「俺の口で言うにはちょっと……。
言えるのは、あいつがずっと独りだったこと」
「独り…」
独りってどういうことなんだろう。
それ以上は話してくれなかった加州君は、さっさと片付けをして、私も政府に連絡を入れた。
数日が経ち、Aちゃんが起きたと聞いて、その夜に私も彼女が寝ている部屋に向かった。
「失礼します…」
静かに中に入ると、3人はいつか見たように固まって寝ていた。
そういえば今日、Aちゃんは海に落ちた時のことは覚えてないと石切丸さんが言っていた。
やっぱり、手入れしないとバグが起きてしまうのかな。
そう思い、こっそりと来たんだけど…。
あの時の骨喰君の目を思い出して、足が竦んでしまう。
「でも、今しか無い…」
枕元に座り、真ん中で寝ているAちゃんの火傷部分に手を翳して霊力を流そうとした。
ｶﾞｼｯ
「‼」
腕を掴まれた。
side end.
(……だれ)
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作者名：せーら | 作成日時：2021年4月18日 22時
