【薄桜鬼】響恋唄 (ページ8)

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＊陸夢ページ8

普通に戦ったり会話するのには支障はおこたらないが、

体に、肌に触れられると自然に反発してしまうらしい。

蝶子「あ、いや、その…い、今のは気にしないでくれ。」

目をそむける蝶子を、沖田は見逃さなかった。

沖田「あれぇ～？君、もしかして『男性恐怖症』？」

芽生「((ｷｯ!!…軽い挑発で蝶子を弄ばないでくださいます？見ていてとても目障りですから！」

瞬時に蝶子を庇う芽生。

クールでお嬢様口調な芽生も、この時ばかりは本気で怒りに満ちていた。

ー“男性恐怖症”…

その言葉を、蝶子の前では決して出してはいけない。

己を強くするために前世で剣道部に入り、全国大会優勝という実力を残すほどの凄腕だが、

未だに男性恐怖症だけは治らないのだった。

そんな蝶子を支えてきた唯一のパートナーが芽生だ。

『貴女いい目つきをしてるわね。よかったら私と剣道部に入らない？』ﾆｺｯ

一年生の春、先に話しかけたのは芽生だった。

その言葉に少し戸惑い、

考える時間を少々使ったが、今では剣道に入部して本当によかったと蝶子は思っているらしい。

だが、芽生は弓道部にも入った。

しかし、今はそんな場合ではない。

蝶子は目に輝きの色をなくし、少し怯えていた。

平常心が保てていないようだ。

斎藤「そのようなことがあったとは知らず、むやみに女性の肌に触れてしまったこと、

　許していただきたい。」ﾍﾟｺﾘ

「「(斎藤/一くんが他人に頭をさげた！？/さげただと！？)」」

蝶子「あっ、え、と…こちらこそ、いきなり声をあげてしまってすまない…」

芽生「(蝶子がいとも簡単に見ず知らずの人に頭をさげるですって！？しかも男性に…！)」

斎藤と蝶子が頭を下げるようすに、周りの三人は感無量な表情をしていた。

すると、斎藤が突然羽織を脱いで蝶子の肩へと優しくかけた。

蝶子「！」

斎藤「迷惑だと思われてもいい。

　 …しかしこれはアンタのためにやったんじゃない。勘違いするな。」

斎藤「ここでアンタに風邪を引かれたら、話を厳密に聞けなくなるからな。

　そのための羽織だ。」

相変わらずぶっきらぼうで無愛想な斎藤。

だが、斎藤の行動に蝶子は驚いていた。

男性恐怖症と聞いたのにも関わらず、自分にこんなにも優しく接してくれる男に

初めてで会ったからだ。

ドクンと高鳴る蝶子の鼓動。

これが斎藤に恋をした瞬間だと気づくのは、まだまだ先のお話。