【薄桜鬼】響恋唄 (ページ5)

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＊参夢ページ5

刻は夜。

凛とした静けさは、星のない重たげな空全体に広がっているようかのようだ。

…睨み合う両者…

どちらも譲るつもりは一欠片もないようだ。

「ｻﾞｯ｣

「「！」」

すると、ふいに人の足音がした。

その足音がする一定方向を四人はまじまじと見つめた。

うっすらとした暗がりの中で見える浅葱色の羽織。

すると、新選組の二人に続き蝶子と芽生も柄にソッと手をかけた。

“羅刹”かもしれないと警戒を装っていたからだ。

そこには……

斎藤「副長、死体の処理はいかに。」

新選組三番組組長、斎藤一の姿があった。

落ち着いた、淡々とした声が静寂の中に響くと

安心したかのように土方と沖田は柄から手を離す。

構えていた蝶子と芽生は、

それぞれの扇子や弓矢から力を抜いた。

土方「羽織だけ脱がせとけ。あとは観察に処理させる。」

斎藤「御意…」

いきなり現れその場の状況が飲み込めないはずなのに、

すぐにこの場の状況を悟ったかのように、一歩下がり警戒心をもつ斎藤。

……羅刹から羽織を脱がせる前に、

まずは蝶子と芽生をどうにかして屯所へ連れていくつもりなのだろう。

沖田「君たち、女の子なのに随分と威勢がいいんだね。

　でも僕、そういう子嫌いじゃないよ。」ﾆｺ

笑顔を見せていても、その奥には企みがあると蝶子と芽生は感じていた。

蝶子「軽い挑発のつもりか？…ずいぶんと低能な言葉で女を口説くんだな。」

芽生「まったくですわ。」

沖田「アッハッハッハッハ!!君たち、本当面白いね。服装といい何といい…」

沖田は制服姿の二人を全身的に見た。

一方の土方と斎藤の二人は、

沖田が蝶子と芽生の相手をしているうちに何か話をしていた。

斎藤「…副長、あの者達はもしや…」

土方「ご名答。目撃者だ。」

斎藤「やはり…それではどうにかしてでも屯所へ連れて行かねばなりませんね。」

土方「あぁ。それで今手を焼いてるっつーことだ。」

斎藤「まだもう少し様子をうかがってみますか？」

土方「((ｺｸｯ…必ず隙があるはずだ。手荒なしたくねぇが……」

またこの二人も、何か作戦のようなものを練っているようだった。