【薄桜鬼】響恋唄 (ページ3)

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＊壱夢ページ3

芽生「ー…子。蝶子！起きなさい」

私はその声で目を覚ます。
何か焦っているような気がした。

蝶子「うるさい…。静かにして頂戴」

芽生「静かに何て無理です。一体此処は何処なのでしょうか」

私たちは変なとこに来たらしい。

辺りを見渡すと知らない景色。

そして、とてつもなく暗い。

多分、否、絶対夜だろう。

蝶子「こ、此処は何処！？………待て。この世界さっき読んだ物語と似ている気がするのだが…」

芽生「そう言われればそうですね。確か……」

蝶子/芽生『薄桜鬼…』

二人揃えて声に出す。

これ程珍しいものはなく、驚きを隠せない状態だ。

蝶子「まさかトリップだろうか…」

芽生「まさか。私たちの時代に限って漫画みたいなことはないはずですけど…」

足が竦むどころか驚きで足が動かない。

ずっと立ったままだ。

その時、女の子の悲鳴が二人の耳に入った、それに続き狂い声も聞こえた。

「きゃぁぁぁ！！」

芽生「！？蝶子行きますよ！！」

芽生の合図で声の方へ走り出す。

悲鳴がした場所は案外近く、案の定直ぐに着いた。だが…。

蝶子「しまった…扇が…」

蝶子の武器となる唯一の扇を無くしたみたいだった。

表情を歪ませる蝶子。

その時、凛とした声が響く。

その声は芽生だった。

芽生「どきなさい！！」

何かが放たれる。
それは蝶子の横を掠り、羅刹の心に当たった。

羅刹「ぐぁぁぁ！！」

2体中一体はそれを心から抜いた後息を絶えた。

蝶子「もしかして、その弓。持ってきてたのか？」

芽生「えぇ。丁度「弓矢」があって助かったわ。」

蝶子「流石だな」

芽生「こんな時の為持ち歩いてるのよ。ほら、これ、落としてましたよ」

そう言って扇を差し出す。
先程、落とした時に拾ったようだ。

蝶子「すまない……」

芽生「気にしなくて良いのです。ほら、もう一体！倒しますよ！」

蝶子「そうね。さっさと倒してこの娘を助けましょう」

そして、二人はまた武器を構えた。

倒す為に動く二人は何処か儚い蝶のようだ。

また一人が矢を放ち、もう一人がそれをサポートする。それは素晴らしいコンビネーションだった。

あっという間に羅刹を倒し、また何時もの『感じ』に戻った。

蝶子「…倒せたようだな。」

芽生「そうですね。でも、問題は……」

芽生はチラリと悲鳴を上げただろうと思う子を見る。その子は気絶していたのだった。

芽生「やり過ぎたみたいですね…」

その言葉は暗い空に吸い込まれた。