【薄桜鬼】響恋唄 (ページ12)

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＊拾夢ページ12

ー…チュンチュン

可愛らしい小鳥のさえずりが朝を歓迎する。

それで二人の目が覚める。

芽生「んー…。もう朝ですの……」

まだ重い瞼をゆっくりと上げた。

そして、眠たげに目を数回擦った。

蝶子「…そうみたいね…。おはよう、芽生」

芽生「えぇ、おはよう………」

挨拶を交わし、数秒後芽生は何故か青ざめた。

一体どうしたのだろうか。

蝶子は何かを察し、芽生に問いかけた

蝶子「どうかしたの？」

芽生「あ、いえ…。そういえば。私達……着替えないわ……」

蝶子「……」

ゆっくりと自分の服を見る。
服は制服のまま、しかもしわだらけだった。

芽生「…きゃぁ〜！ど、ど、ど、どうしましょう！！制服がしわだらけですわ！！」

蝶子「帰ったら元に戻したら良いじゃないかしら。この時代にはまだアイロンとかないわ。」

芽生「で、でも！服が可哀想ですわ！どうにかして、しわを…」

その時、ガラッと障子が開いた。

そこには昨日一緒にいた女の子が三つ指をして座っていた。

そして、蝶子と芽生は「偽り」の性格を演じ始めた。

蝶子「私達に何か用か？」

「あ、いえ。これ。もし良かったら…」

少女は青と水色がメインの袴と桜柄の着物を渡してきた。

芽生「…これは？」

「その服だと多分目立っちゃいますから。もし良かったら着て下さい」

そう言ってふわりと笑った。
蝶子と芽生は唖然と彼女を見つめた。

蝶子「……嬉しいのだが、名を知らん奴には借りたくないな。｣

ポツリと言った蝶子。芽生は相手を傷付けてしまうのではないか、とハラハラしていた。

だが、少女は嫌な顔どころか慌て始め、自分の名を名乗った。

「えっ！す、すみません！！私は雪村千鶴です」

芽生「千鶴ちゃん、ですね。有難う御座います。私は芽生です。詳しくは後程」

蝶子「私は蝶子だ。芽生と同じ詳しくは後でな。」

千鶴「は、はい！よろしくお願い致します！」

芽生/蝶子「えぇ、よろしく/よろしくな」

３人は簡単な自己紹介を済ませる。

千鶴と名乗る少女はまた優しい笑みを浮かべた。

芽生「………で、この服本当にお借りしても良いのですか？」

千鶴「は、はい！サイズが合わなかったらすみません…」

蝶子「大丈夫だ、これくらい。有難う、お言葉に甘えてお借りする」

千鶴「有難うございます！」

千鶴は2人に役立てたことがあまりに嬉しく、喜んでしまった。

その結果、2人は千鶴を見て少し笑った。