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「お米とお塩だけですか…」

Aが台所の棚を開けると、食料はそれしか無かった。

「貴方たちは、いつもの何を食べていたのです?」

「三日月から、茶菓子を貰ってた。」

Aに代わって爆睡した信濃を背負う後藤が答える。

「三日月…?」

首を傾げるAに、『この本丸で一番強い刀剣だ』と付け足す。

「では、その方もまともな食事を取っていらっしゃらないのですね。それではその方の分も…」

「大将、それはやめた方がいい。大将は絶対アイツに殺される…俺、嫌だよ。せっかく大将みたいな優しい人に出逢えたのに…」

俯く後藤の頭に手を乗せる。

「分かりました。では今日は私達の分だけにしましょう。」

「ありがとな、大将…」

後藤は笑顔を見せた。









「ごめんなさいね、お米しかなかったから、粥しか作れなくて…」

「ううん、美味しい!」

「大将、ただの白米が塩だけでこんなに美味くなるんだな!」

大した料理は出せなかったけど、2人の偽りのない笑顔に、Aは嬉しく思った。


「ずっと思ってたんだけど、大将の持ってる刀、すごく綺麗だね!」

「この小太刀は、私の妹の形見でしてね…昨日の夕方、あの子は私を助けるために死んでしまいました…。
私はあの子の姉でありながら、護ってあげられなかった。だからせめて、貴方達を助けたい。
私が何かを護れるのなら、救えるのなら、手を差し伸べたかった…」

Aは苦笑いをする。

「ねぇ大将、顕現してみたら?」

「そうだ!信濃の言う通りだ!ここにはもう資源がなくて新しい刀剣を鍛刀するのは難しいが、刀があれば顕現できる!」

2人は立ち上がって、目を輝かせる。

Aは2人の言葉に、ここへ来る前の事を思い出した。

『形見でも、そばにいてほしい』

「ねぇいいよね?大将!」

「そうですね…やってみましょうか」

「よし、善は急げだ!」

3人は急いで食器を片付け、審神者部屋に直行した。

「厚と薬研の耳は塞いでおくから、大将、顕現していいよ!」

「この札に念をこめながら刀にかざしてください!」

どこからともなく、こんのすけが現れる。

「ありがとうこんのすけ」

微笑んだあと、目を閉じて念を込める。

するとAの持つ札は、蒼い光に包まれた。


だが光はすぐに消えてしまう。

「審神者様、貴女様の霊力が弱っているため、この刀剣は明日顕現されるでしょう。」

Aは素直に受け入れ、後藤、信濃を連れ今夜は休むことにした。

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小枝(プロフ) - あーさん» ご愛読ありがとうございます^^* (2019年5月12日 15時) (レス) id: 8af81dc1b3 (このIDを非表示/違反報告)
あー(プロフ) - とても面白いです^^*。更新待ってます!頑張ってください!! (2018年6月6日 11時) (レス) id: 9daba1a21a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小枝 | 作成日時:2017年8月4日 1時

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