【ハイキュー!!】先輩。俺、弟じゃないんで【国見英】part3

小さな我が儘 * 国見side ページ29

いつも通り、部活をして。









いつも通り、Aさんに会いに来て。









いつも通り、面会ギリギリまで残って。









いつも通り、家に帰る筈だった。









でも、今日は"いつも通り"なんて訳にはいかなかった。









Aさんが、小さく呟いた言葉。









『何で今まで気付かなかったんだろう。

こんなに惚れてることに』









ﾄﾞｸﾝ..









俺の心臓が、波打った気がした。









それは、誰に対して？









まさか、菅原さん？









昨日、何があったの？









そんな思考がぐるぐると頭を巡って。









俺は無意識の内にAさんの手を掴み、引き寄せていた。









真っ直ぐ見つめると、Aさんは目を逸らす。









やっぱり、菅原さんに...









そんな考えを遮るように、Aさんが言った。









あ「...今まで、ずっと一緒に居た人だよ。


隣に居るのが当たり前で。



弟みたいだと思ってた人」









そう言って、Aさんは顔を上げ、俺と目を合わせた。









ずっと、一緒に居て...






弟みたいだと思ってた...？









国「それ、って...」









考えても考えても、その条件に当てはまるのは、一人しかいなくて。









...俺は、自惚れていいのかな。









あ「...英、好きだよ」









その言葉は、あまりにも衝撃的で









でも、何よりも嬉しくて









俺は、Aさんを抱き締めた。









国「...やばい。


俺、すごい幸せだ...」









夢なんじゃないかと思った。









こんなに幸せな事があっていいのか。









Aさんは、まるでそれを肯定するように俺の背に手を回す。









その温もりで、これは夢じゃないんだと思った。









国「...俺だって、好きだよ。

俺は昔から、Aさんに惚れてたんだから。


...大好き」









何年も恋い焦がれてた相手と両想いになれた。









二度と離してやるもんか、なんて思っても、現実はそこまで甘くない。









思わず、離したくない、なんて呟く。









あ「...なら、離さないで。


あと少ししかここに居られないけど...


それまで、ずっと英と居たい」









そんな小さな我が儘、言われなくても叶えるよ。

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