第30話 ページ32
月「脳、死って…なら、Aのお兄さんは…」
本当は俺だって分かってる。
今の兄貴に、希望なんてほとんど無い事くらい。
あ「でも、生きてるから…」
兄貴は確かに生きてるから。
あ「信じなきゃ…ダメなのに……」
もう兄貴は…って、心のどこかで思ってる。
月「……」
あ「正直なとこ…兄貴の治療費払うのも、そろそろ限界だと思うんだ。ウチ、母子家庭だし」
でも、治療をやめたら今度こそ希望は無くなる。
兄貴は、いつもいつも、自分より他人で。
方法なんて無いけど、仮に兄貴が四年も治療続けてるなんて知ったら、躊躇いなく"治療なんて必要ない"って言うと思う。
それでも……
今こうして生きてるって事は…
兄貴は少しでも、『まだ生きていたい』と思ったからだと思うんだ。
あ「なぁ、蛍。聞いてくれないか…？俺の、自慢の兄貴の話」
月「うん。聞かせて…？」
まず、何から話そうか。
あ「兄貴はさ…カッコ良くて、優しくて、運動も勉強もできて、皆に好かれてて…昔から、俺の憧れだった。俺が兄貴の影響でバレー始めたのは前に言ったよな？」
月「うん、聞いたよ」
あ「勉強は大っ嫌いだったし、こんな性格で兄貴みたいに優しくもねぇからさ。せめてバレーくらいは、兄貴みたいに強くなりたくて」
バレーは、出来損ないの俺が唯一全力で打ち込めることだった。
あ「すげぇ練習した。兄貴みたいになりたいってのもあるけど…何より、バレーが楽しくて仕方なかったんだ」
自分でも信じられないくらいのバレー馬鹿になったし。
あ「でもまぁ、簡単に追いつけるはずもないよな。高校だって、当時は強豪で有名な烏野だ」
俺はその事に誇りを持っていた。
きっと、烏野でもトップ張るぐらい凄い選手なんだろうなって。
あ「けど、やっぱ"強豪"なんて伊達じゃなくて。確か"小さな巨人"だっけ？兄貴とその人、同い年でさ」
月「……！」
あ「だんだん…比べられる事に耐えられなくなったんだろうな。俺は「一緒に頑張ろう」なんて綺麗事言って。「天才のお前に何が分かるんだ」って言われた」
俺が、兄貴を追い詰めていた。
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おれんじ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ (2016年7月23日 20時) (
レス) id: 249793c7a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおきゃらめーるん - この小説凄くいいです！あ…あと、すみません…イメ画が見れないデス…すみません…あ、更新頑張ってください…！ (2015年11月6日 0時) (レス) id: 05c8f163db (このIDを非表示/違反報告)
minori♪(プロフ) - この小説最高です(*´∀｀*)ツッキーカッコイイ！これからも頑張って下さい♪楽しみにしています (2015年9月16日 19時) (レス) id: fc9269d5d6 (このIDを非表示/違反報告)
月葉(プロフ) - やばい感動！！そして安定のツッキーイケメン！！！最高です！頑張ってください！！ (2015年8月17日 20時) (レス) id: 1e1c7e4592 (このIDを非表示/違反報告)
るる丸。 - いいですね、更新頑張ってくださいね！ (2015年7月19日 4時) (レス) id: 623f1b6ad6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*雛菊* | 作成日時：2014年12月22日 0時
