第29話 ＊ 月島side ページ31
あ「け…い…？なに、やって…」
僕に抱き締められたままのAは、声も肩も震えていて酷く頼りない。
月「悪いとは思ってるけど…話、聞いてた」
ここまで弱々しいAは初めて見た。
…いや、違う。
Aは自分の弱さを誰にも見せようとしなかった。
月「何で…誰にも頼ろうとしないわけ？」
こんなに壊れそうになるほど、"独りになるかもしれない"っていう恐怖に、ずっと耐えてきたんデショ？
何年も、ずっと。
月「…Aは十分、頑張ったんじゃないの？そろそろ、自分に素直になっても良いんじゃない？」
素直に、なんて僕が言えた事じゃないけどさ。
あ「誰かに頼るなんて…できない。俺は…いや、俺が。兄貴の生活を、幸せを奪った。誰にも甘える事なんて、許されないんだよ」
許されない、ねぇ。
月「そんな事、誰が決めたの？」
AはAなりに、何とかしようとしてるじゃん。
自分の気持ちを押し殺してまで。
月「そんな事しても、Aのお兄さんは喜ばないデショ」
Aの目が見開かれる。
月「Aはさ、自分を責めすぎなんだよ。何でもかんでも自分が悪いって思ってさ」
あ「でも…本当の事だ。…何で兄貴はこんな事になってる？」
Aの目から、ポロっと雫が落ちる。
あ「俺を庇って、意識失って。植物状態になって、もう四年も経つ…！」
僕は植物状態に関する詳しい知識なんてほとんど持ってない。
四年間も意識を失っているという事の大きさは分かるけど、どれくらい深刻なのかはあまり分からなかった。
そんな僕の考えを見通したかのように、Aは続ける。
あ「…脳外傷後1年、または酸素欠乏後6か月を経過しても意識の兆候が全く見られない患者は……回復の見込みがゼロに近い」
月「え…」
あ「兄貴は今、『永続的植物状態』と言われる状態なんだ。ここまで言えば…分かるだろ？」
"永続的"という単語に、思わず目を見張る。
あ「後に待つのは…『脳死』だ」
＊＊＊＊
植物状態の説明はWikipedia様から引用しました。
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おれんじ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ (2016年7月23日 20時) (
レス) id: 249793c7a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおきゃらめーるん - この小説凄くいいです！あ…あと、すみません…イメ画が見れないデス…すみません…あ、更新頑張ってください…！ (2015年11月6日 0時) (レス) id: 05c8f163db (このIDを非表示/違反報告)
minori♪(プロフ) - この小説最高です(*´∀｀*)ツッキーカッコイイ！これからも頑張って下さい♪楽しみにしています (2015年9月16日 19時) (レス) id: fc9269d5d6 (このIDを非表示/違反報告)
月葉(プロフ) - やばい感動！！そして安定のツッキーイケメン！！！最高です！頑張ってください！！ (2015年8月17日 20時) (レス) id: 1e1c7e4592 (このIDを非表示/違反報告)
るる丸。 - いいですね、更新頑張ってくださいね！ (2015年7月19日 4時) (レス) id: 623f1b6ad6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*雛菊* | 作成日時：2014年12月22日 0時
