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山田side


『君が、山田 涼介くん?……よろしくね。』


あの日、まだ幼気な彼の唇から発せられる自分の名前に、酷く胸が高鳴ったのを記憶している。
一瞬で目を奪われて、遂には初恋なんて感情も呆気なく彼に奪われてしまったのだ。


『山田が、好きだから。』


さっき伊野尾ちゃんが呟いていた言葉がフラッシュバックする。
それと同時に、なにかが胸に押し寄せてきて


『やまちゃん、こわい。』


その言葉の意味が分かった様な気がした。


……なんで今、今気付いてしまったんだ。


もう、手遅れだ。


だんだんと、暗い部屋の中が照らされていく。
地面に落ちたガラスの破片が鈍く銀色に光る。

目の前の彼の姿が酷く滲んだ。


「ああ、ほんとに終わるんだね。」

「うん、最期。」

「ちょっとだけ期待してた。」

「ふふ、」


青かった空が白みを帯びていく。
本当に一瞬なんだ、終わりって。


「ねぇ、伊野尾ちゃん。」

「ん?」

「なんで俺を選んだの?」

「なんとなく。」

「……昨日と答え違う。」

「変わるもんだろ、理由なんて。」

「あーあ、軽蔑。」

「愛は疑うものじゃなくて信じるものなんだよ、山田少年。」


軽口を叩き会いながらも、白色で目の前が霞んでいく。
世界が光に包まれる直前、伊野尾ちゃんは俺の耳を塞いで



そっと俺に口付けた。



ただ彼の綺麗な顔が近くにあって、それを瞳でいっぱいに感じた。

きっと、追いかけてた。

ずっと、追いかけてた。



『伊野尾ちゃん、なんで俺を選んだの?』



微笑む彼に再度そう問いかける。

地面が割れる音とか街が崩壊する音とかで、微かにも聞こえやしなかったけど。


ただこの『恋』とやらに全てを捧げて自惚れてもいいなら、俺は言おう。



『山田が、好きだから。』



彼の唇は、そう動いていたと。



fin.



?『変えようのない事実にも歯向かっていける、君だけのヒーローになりたかった。』



いたいのいたいの、とんでいけ。【jump×in】→←3



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ひまちぃ(プロフ) - 明日さん» わわ、お返事遅くなってごめんなさい🙏💦コメント頂けて凄く嬉しいです!!ありがとうございます!!今あるリクエストが終わったら書かせて頂こうと思いますので、今しばらくお待ちください!! (8月6日 12時) (レス) @page26 id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
明日(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。『いたいのいたいの、とんでいけ。』が大好きで、いのちゃんに激萌え。JUMPくんも激萌えです。『いたいのいたいの、とんでいけ。』ないのちゃんの再登場を待ってます。せひ、よろしくお願いします。 (2023年2月22日 20時) (レス) id: d0260f9968 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - なるみさん!!リスエストありがとうございます!!喜んで書かせていただきます(*゚▽゚*) (2021年8月6日 8時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
なるみ(プロフ) - 今回もおもしろかったです!伊野尾ちゃんを可愛く書いていただきありがとうございますw あのリクエストなんですけど、メンバーの誰か二人が伊野尾ちゃんを奪い合う(?)お話を作っていただけると嬉しいです!長くてすいませんm(_ _)m (2021年8月5日 23時) (レス) id: b1feebb6da (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - なるみさん!!ありがとうございます!!やっぱりそういったコメントもらえるとすごく嬉しいです!!これからも頑張ります(*'▽'*) (2021年7月27日 18時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひまちぃ | 作成日時:2021年3月9日 16時

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