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伊野尾side
彼と……山田と家のベランダで約束を交わしてから。
2人だけの秘密のわがままを、ずっと心の中で充実させてきたはずだった。
彼と時折手を繋いで
その柔らかな唇に触れて
何気無い事で笑い合うことが
何にも代え難い、俺の『幸せ』だったはずなのに。
『ねぇ、俺ってもう山田なのかなぁ。』
『そうでしょ、結婚したんだし。別に俺が伊野尾でもいいけど。』
『……山田が奥さん？』
『いや？伊野尾ちゃんが奥さん！』
“ 結婚 ” なんて俺たちの立場では成り立たないはずの契約が、俺と山田の中だけだったとしても成立した瞬間、俺は “ 今まで以上 ” を求めてしまうようになった。
まっさらな俺たちの関係に
許されない俺たちの関係に
“ 名前 ” と “ 理由 ” を与えたら、どうしようもなく愛しくなってしまった。……大切に、思えてしまった。
『好き』とか『愛してる』の言葉を巡らせるだけじゃ、足りなくなってしまう自分が憎い。
俺たち2人だけの口約束では、いつか壊れてしまうのではないかと時折不安になる自分が憎い。
「伊野尾くん」
「ん？」
「すごく綺麗ね」
「……ありがとう。」
本当は、形だけでも、何か目に見えて光るものが欲しかった。
心からの祝福は貰えずとも、ただ漠然とした何かがそっと手の中に入るのを感じたかった。
でも、彼のことを考えたらそう口にすることすら恐ろしくて。
……ずっと、ずっと言えなかった。
『伊野尾ちゃんはさ、結婚式とかって憧れる？』
『ん〜？……いや、山田がいればいいかな。』
『なんだよそれ』
“貴方がいればそれで良い” なんて、よくある恋愛ドラマに感化されただけの出任せだった。
本当は山田を心から愛しているからこそ周りに認めて欲しくて、ただただ普通の恋人達のように過ごさせて欲しくて、神様なんて偶像に願いを寄せていたのに。
「伊野尾さん、お似合いです！」
「ほんとに？……ふふ、」
肌にシルクの生地が擦れる感覚を、噛み締めるように感じる。
腰からふんわりと広がる程よいシルエットに、心地の良い重さを感じながら、なんでも許されてしまいそうなこの空気に浸る。
君は、なんて思うだろう。
この姿の俺を見て、なんて思うだろう。
「じゃあ、ベールかけますね〜。」
ふわり、とドレスの丈と同じ位のマリアベールが、頭から俺を包み込む。
今だけは夢を見たい。
君とこうやって『夫婦』の形を手に入れる夢を見ていたい。
そう、レースに遮られた視界の向こうに想った。
「伊野尾さん、お時間です！」
．
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ひまちぃ(プロフ) - あやかさん» 了解しました！！今あるリクエストから順を追って応えていきますので、近いうちには更新することができると思います！！気長にお待ちいただければ幸いです。 (2022年4月18日 22時) (
レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - コメント失礼します。ここで、誓おう。とても良かったです！もし良かったら、ここで、誓おうのym×inのその後を書いて頂けないでしょうか？よろしくお願いします！ (2022年4月17日 17時) (レス) id: a32468be8f (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ふぅいさん» いつも読んでいただいてありがとうございます！！昨日無事に中学校を卒業致しました。遂に高校生……忙しくなるとは思いますが、これからも小説投稿を続けていきますので応援よろしくお願い致します！！ (2022年3月8日 10時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
ふぅい - 受験お疲れ様でした！！そして受験期間中､お忙しい中でのお話投稿ありがとうございました！ひまちぃさまのお話が本当に大好きでいつも投稿を楽しみに色々頑張れてます。ありがとうございます。これからも楽しみにしております！本当に大好きです！！！ (2022年3月7日 22時) (レス) @page50 id: 85477ac2f6 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - なるみさん» ありがとうございます！！なるみさんいっつもコメントくれて嬉しいです！！これからもどうかご愛読くださいね！！ (2022年2月21日 23時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ | 作成日時：2022年1月4日 9時
