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山田side
「伊野尾ちゃん大丈夫？身体辛くない？」
「ん、大丈夫。……手繋いで。」
街灯さえも消えた暗い夜道で、まだ何処か眠たげな目を擡げた彼からそっと差し出された手を、優しく取る。
一応熱は下がったものの、まだ若干熱を纏った掌が外気に晒され冷たくなった俺の掌の温度と混ざり合い、心地良いそれとなって俺たち2人の間に伝わっていった。
……何故だろう。
無言の時でさえも愛おしいと感じるのは。
改めて、あの時優先順位を誤った自分が酷く愚かだった事を知る。
少し高い位置にある伊野尾ちゃんの綺麗な横顔に、俺の胸はどきりと音を立てた。
「……ごめん、伊野尾ちゃん。」
「いいの、もう。こっちも勝手に出て行っちゃってごめん。」
「仕方ないよ、全部、俺のせい。」
ただ握っていただけだった互いの手。
軈てどちらからともなく絡んだ指先は、その感覚一つ一つをなぞる様に肌の上を這う。
交わす言葉の量は少なく、それでもこの合わせた瞳の間で言葉には出来ないものが浮かんで弾けた。
好きだ、とか安直なものではなくて。
もっと重厚で、もっと、もっと……
「________愛してるよ。」
今はまだこんなものしか伝えられないけれど、俺にとっての最愛、君にしかあげられない最上級の贈り物。
一瞬、大きく目を見開いた伊野尾ちゃんは、軈て困った様に眉を下げて顔を両手で覆い隠した。
深い夜の闇の中で、その手の隙間からポタポタと零れ落ちる雫だけが輝いて見える。
「すき、すきだよ……っ、やまちゃん……、」
「うん、俺もだよ。伊野尾ちゃんだけを愛してる。
________あの時大勢の前で、俺は誓ったんだから。」
優しく、純白のベールを上げる様に、彼の手をそっと顔から取り上げた。
その左手には俺とお揃いのシンプルなリングが色褪せることなく美しさを魅せている。
「俺に、もう一度伊野尾ちゃんのこと守らせて。今度こそ絶対、傷つけたりなんてしない。」
涙を堪えた瞳に差し込む月明かり。
桃色の唇が艶やかに照らされたのを合図に、俺は触れるだけの長いキスを落とした。
愛してる。ずっとずっと。
この時間が永遠だったらいいのに。
俺が幸せにすると誓うのは君だけだよ。
他の誰にも、絶対に触れさせたりなんかしない。
悩んで、苦しんでやっと手に入れた生活だから、
これからもどうか________________
「俺と、この先も一緒にいてくれますか？」
「……はい……っ！」
fin.
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ひまちぃ(プロフ) - うさこさん» うさこさんありがとうございます！！コメントすごく嬉しいです😆次回作も力を入れて頑張りたいと思います！！ (2022年7月13日 19時) (
レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんわ。やっと仲直り😊いのちゃんの気持ちを思うと泣けてきちゃってずっと気になっていたのでハッピーエンドになって嬉しいです🙂次の作品も楽しみにしています。 (2022年7月13日 1時) (レス) @page49 id: f4957992c9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - Rinさん» ありがとうございます！！コメント本当に嬉しいです！！最近は更新頻度も落ちてきてご迷惑をおかけしていることは承知ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2022年7月8日 21時) (レス) @page45 id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - このシリーズすっごくすっごく好きです！！この後の展開が気になって仕方ない書き方をされるのでワクワクが止まりません！早く続きが読みたいです！待ってます！！ (2022年6月30日 19時) (レス) @page44 id: b5ace0fd89 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ぬんさん» コメントありがとうございます！！すっごく嬉しい感想で、静かに喜びを噛み締めてます……！！これからもどうかご愛読ください！！ (2022年6月19日 19時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ | 作成日時：2022年3月9日 12時
