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薮side
軈て、そんな抵抗心も無駄だと悟ったのか
伊野尾は諦めて俺の首に手を回し、
ぎゅっと身を縮こまらせて俯いた。
俺とそんなに身長は変わらないはずなのに、
その華奢な体をこうやって抱いていると、
いつもよりもうんと小さく見えるから不思議だ。
「ほら、ついたぞ〜。」
結局、風呂場まできっかりお姫様抱っこで運び
これ以上彼が腰を痛めない様に、ゆっくり降ろすと
抱いている時は俯いていて見えなかった顔が
そりゃもう爆発寸前ってくらい真っ赤になっていて
熱でもあるんじゃ無いかと疑うレベル。
「っ、ぁ、りがとっ、」
「ぉま、ちょっと待て！！」
流石に心配になって、浴室に引っ込もうとする伊野尾の腕を掴み、大丈夫かと問いかけてみるが、返答はぼそぼそと何か言っているのが聞き取れるか聞き取れないか程度で、言ってる内容なんて分かったもんじゃ無い。
普段ならはきはきと、割りかしなんでも言ってのける伊野尾。
下手すりゃ、あの萌え袖の中から想像もできないほど強い打撃が飛んでくるというのに
今日はなんか本当に様子が違うというか、いじらしいっていうか……。
「なんも……なぃっ……てばぁ。」
そのまま涙目でぽすぽすと俺の胸板を叩く彼に思わず唾を飲んだ。
……正直、その懐かしさを覚える初心な仕草とか、表情とかに
全く興奮しなかったわけじゃない。むしろしてる、現在進行形。
でも、やっぱりどうしても自分の欲より心配の気持ちが勝ってしまう。
「お前、本当に大丈夫か？」
「〜〜っ、大丈夫って言ってんじゃんっ……しつこいって！」
更に顔を近づけ、彼の体をなるべく優しく抱き締めれば
“ほんとにやめてよ” って涙目で呟き、顔を背ける伊野尾。
その頬は見て分かるくらい桃色に上気していて、
わなわなと震える唇は瑞々しく赤色を堪えている。
下手したら行為の最中よりも甘く蕩けた顔してるんじゃ……。
「はなして……っ！」
「ぜってーやだ。心配だから。」
「っぅ、今日のやぶ、なんかへん……っ。」
変なのはお前だよ！！って言い返したい衝動を引っ込め、
その細っこいけどふわふわとした腕を掴んだまま
浴室に伊野尾を引き込んで、扉を閉めた。
「なっ！なんでお前まで！！」
「後処理、俺がやる。」
「……は？」
まるで化け物でも見たような眼差しで俺を見つめ、
分かりやすく動揺しだす伊野尾。
でもこんな体調も様子もおかしい恋人を
一人にさせるのは、やっぱり気が引けるから。
今回だけは、俺も絶対譲らない。
．
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ひまちぃ(プロフ) - うさこさん» うさこさんありがとうございます！！コメントすごく嬉しいです😆次回作も力を入れて頑張りたいと思います！！ (2022年7月13日 19時) (
レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんわ。やっと仲直り😊いのちゃんの気持ちを思うと泣けてきちゃってずっと気になっていたのでハッピーエンドになって嬉しいです🙂次の作品も楽しみにしています。 (2022年7月13日 1時) (レス) @page49 id: f4957992c9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - Rinさん» ありがとうございます！！コメント本当に嬉しいです！！最近は更新頻度も落ちてきてご迷惑をおかけしていることは承知ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2022年7月8日 21時) (レス) @page45 id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - このシリーズすっごくすっごく好きです！！この後の展開が気になって仕方ない書き方をされるのでワクワクが止まりません！早く続きが読みたいです！待ってます！！ (2022年6月30日 19時) (レス) @page44 id: b5ace0fd89 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ぬんさん» コメントありがとうございます！！すっごく嬉しい感想で、静かに喜びを噛み締めてます……！！これからもどうかご愛読ください！！ (2022年6月19日 19時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ | 作成日時：2022年3月9日 12時
