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伊野尾side
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……いつかの日の歌番組の収録で、大勢のJr.が一気に収集を掛けられたことがあって。
俺はゆうとと出なくちゃいけないのに、あの子ってば
『トイレに行く』って行ったきり、楽屋に帰ってこなくてさ。俺、泣きながら局内駆け回って、手当たり次第探したんだよ。
『見つけた！！……っゆうと！！』
『ぅ、うぁ……ぃ、いの、ちゃ……ん……！！』
結局それは、あの子に嫉妬したいつかの同期の悪戯で。冷え冷えとした、灯の灯らない空き楽屋の中、閉じ込められて寒さと恐怖に打ち震えていたゆうとを抱きしめた時、自分がこの子を守らなくちゃいけないんだって、子供心ながらにそう決意していたんだ。
月日が経ち、体も心もすくすく育ったゆうとに、まさか自分が抱き込められる側になるなんて、そんなこと考えもしていなかったけど。
『ねぇ、いのちゃん』
長い睫毛をぱしぱしと瞬かせて、まだあどけなさの残る笑顔を浮かべるゆうと。
この世にたった1人。大切な、俺の恋人。
『いのちゃんは、俺の』
ゆうと、ゆうと。
お前が消えた今、世界は何か１つでも変わったのだろうか。
星達が照らしていた夜空はほんの少し光を失ったか。
花々は暖かな時期を過ぎても蕾のままか。
瑞花は未だ季節を忘れて降り続けているか。
『_______、だったよ。』
何か一つでも君の存在が、皆の人生に多大な変化を齎すのなら。
君は数多の心臓の中で、永遠に生き続けられるのに。
……
ぃ……ちゃん……
「いのちゃん……！！」
「っ、……ぁ」
大きく耳元で名前を呼ばれ、体を揺すられて。纏わり付くような意識を取っ払い、瞼を上げれば、目の前には自分の家の物ではない天井と酷く困惑したような目つきでこちらを見下ろす最年少の顔。
目覚めた瞬間、俺を取り巻いていた黒い何かが、ざざ、と音を立てて引き始めて、同時にあれだけびっしょりとかいていた脂汗も途端にひんやりとしたものへと変わっていった。
「ちね、ん」
「うん、体は大丈夫？」
「だいじょぶ……みんなは、どこ？」
「みんなはもう家にいる。ちなみにここは僕の家。」
俺の額に滲んだままの汗を冷たいタオルで拭いながら
知 念は俺の体を抱き寄せて、１つ大きな溜息をついた。
「良かった……急に魘されてたから。心配した。」
「ごめん……迷惑かけたね」
「そんなこといい。宏太もみんな謝ってた。いのちゃんの気持ち考えれてなかったって。」
ごめん、と小さな声で呟く知 念の瞳には薄く涙の膜が張っている。
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ひまちぃ(プロフ) - うさこさん» うさこさんありがとうございます！！コメントすごく嬉しいです😆次回作も力を入れて頑張りたいと思います！！ (2022年7月13日 19時) (
レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんわ。やっと仲直り😊いのちゃんの気持ちを思うと泣けてきちゃってずっと気になっていたのでハッピーエンドになって嬉しいです🙂次の作品も楽しみにしています。 (2022年7月13日 1時) (レス) @page49 id: f4957992c9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - Rinさん» ありがとうございます！！コメント本当に嬉しいです！！最近は更新頻度も落ちてきてご迷惑をおかけしていることは承知ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2022年7月8日 21時) (レス) @page45 id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - このシリーズすっごくすっごく好きです！！この後の展開が気になって仕方ない書き方をされるのでワクワクが止まりません！早く続きが読みたいです！待ってます！！ (2022年6月30日 19時) (レス) @page44 id: b5ace0fd89 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ぬんさん» コメントありがとうございます！！すっごく嬉しい感想で、静かに喜びを噛み締めてます……！！これからもどうかご愛読ください！！ (2022年6月19日 19時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ | 作成日時：2022年3月9日 12時
