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伊野尾side
ゆうとの乗った飛行機が発見されたのは、俺たちが思っていたよりも、ずっとすぐだった。
海面に浮かぶバラバラの機体は、上空から見つけやすかったらしい。
原因は後数時間で向こうに着くというところでのエンジントラブル。動力を喪失した機体は、そのまま海へと墜落したのだと聞いた。
メンバー全員が揃った社長室で、その事実を聞かされた時のみんなの形相は、俺の頭にまるで油絵具の如くべっとりと染み付いている。
泣いて、喚いて、スタッフ達がなんとか諌めて。
全員が遅すぎる後悔を顔と声にこれでもかと滲ませながら『こんなことなら行かせなければよかった』なんて。
あの子の事何にも考えずに二つ返事で了承したのは、間違いなく、あの時のお前達だったのに。
俺とゆうとの関係では、思うように口にできなかった言葉も、仲間であり、友人だったからこそ言えた言葉も言わずに、ただお気楽な考えであの子の肩を叩いたのは、紛れも無くお前達だった筈なのに。
「ばか、みたい」
誰にも聞かれないよう小さく呟いた言葉は、思ったよりも大きく響いてしまったらしい。
怒りに満ちた表情の薮が俺を突き飛ばしたのは、瞬きをする間の出来事だったから。
「クソが……ッ！！」
薮は俺の首をも搔き切る様な勢いで俺の上に馬乗りになり、胸倉を掴んだ。憤怒、悲哀、無力感。彼の瞳に映っているのは、俺ではなく、そんな消化しようの無い感情達だった。
「おまえに……っ、お前に何がわかるんだ！！あいつの気持ちも聞こうともせず……ただ黙りこくってたお前に……！！」
また一つ、パシン、と痛々しい音が響いて、じわりと頬に鈍い熱さが篭っていく。
本来なら痛い筈なのに、何故か痛みなんか感じられなくてその代わり酷く軋んだのは、自分の左胸。
「おまえに……っ、なにが……！！」
……だったら、お前には、
そういうお前には、俺たちの何が分かってたの？
本当にあの子の気持ちが分かってて頷いたの？
いつ引き離されるか分からない恐怖の中で、2人で手を取り合いながらやってきた俺たちの気持ちが、本当にお前に……お前らに分かるって言うの？
「自分の事棚に上げて被害者ヅラすんじゃねぇよ 」
留まることを知らず、口から流れ出た言葉は、尚も薮の顔を濃度の高過ぎる憎悪の色に染めた。
無性に近く聞こえる彼の荒い息遣いに、『このまま殺されてもいい』なんて。
．
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ひまちぃ(プロフ) - うさこさん» うさこさんありがとうございます！！コメントすごく嬉しいです😆次回作も力を入れて頑張りたいと思います！！ (2022年7月13日 19時) (
レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんわ。やっと仲直り😊いのちゃんの気持ちを思うと泣けてきちゃってずっと気になっていたのでハッピーエンドになって嬉しいです🙂次の作品も楽しみにしています。 (2022年7月13日 1時) (レス) @page49 id: f4957992c9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - Rinさん» ありがとうございます！！コメント本当に嬉しいです！！最近は更新頻度も落ちてきてご迷惑をおかけしていることは承知ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2022年7月8日 21時) (レス) @page45 id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - このシリーズすっごくすっごく好きです！！この後の展開が気になって仕方ない書き方をされるのでワクワクが止まりません！早く続きが読みたいです！待ってます！！ (2022年6月30日 19時) (レス) @page44 id: b5ace0fd89 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ぬんさん» コメントありがとうございます！！すっごく嬉しい感想で、静かに喜びを噛み締めてます……！！これからもどうかご愛読ください！！ (2022年6月19日 19時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ | 作成日時：2022年3月9日 12時
