レンズの向こう側のきみへ【yt×in】 ページ2
※このお話には死ネタ表現があります。
【レンズの向こう側のきみへ】
＿＿＿＿＿レンズを覗けば、
ふわふわの透き通るような茶髪を靡かせて、
眠たげな目で此方を振り返る貴方が居た。
『きみは間違いなく、俺の太陽でした。』
伊野尾side
パシャッ________、
不意に、真横から聞こえたシャッター音。
折角眠りかけていたのに、やけに耳元で響いた軽快なその音のせいで、パチリと意識が覚醒してしまった。
眠りの世界から一気に現実へと引き戻される感覚から反射的にビクついた俺を見て、声を押し殺すようにしてくすくすと笑う男をキッと睨みつける。
「っ！、も……ばかじゃないの……！」
「ふふ……っ 」
ソファーに寝転んだままの俺の顔を覗き込むようにくるりとした黒目がちなカメラの眼が此方を向いて、また一つパシャリとシャッターが落とされた。
寝起きのおっさんの不細工な顔なんかを撮って何が楽しいんだか。
「……うん、よしっ！！」
撮れた写真を確認すると満足気に頷き、ことりと卓上にカメラを置いた彼は、ソファーの傍に座ってその伸びやかな指先を俺の頬に這わせてくる。
余りにも優しすぎる手つきがどうも擽ったくて、彼の手から逃れる様に柔らかな背凭れへと顔を埋めた。
「ごめんってばいのちゃ〜ん……こっち向いて？」
「やだ、鬱陶しい」
「……可愛い顔見せてよ。」
「っかわいくないってば！！」
耳元で囁かれた甘い甘い言葉に心の奥の方がじゅんと疼いたのを感じ、思わず勢いに任せて彼の方を振り返れば、途端、唇に強く押し付けられる柔らかな感触。
「ん、ふ……っ」
「……顔、真っ赤。すっごい可愛い。」
……してやられた。
まるで悪戯が成功した子供みたいな無邪気で純一無雑な笑顔を見せる彼に、結局俺は幸せな溜息を吐くことしかできなかった。
そんな俺を見た彼も心底喜びを表情に滲ませ、昔より何倍も大きくなったその体で、俺を腕の中に優しく閉じ込めて。
「ただいま、いのちゃん」
「……おかえり、ゆうと」
誰にも知られない秘密の場所。
世間から禁じられた “恋人” という関係。
俺とゆうと、二人の家に帰ってきて初めて聴ける、ゆうとからの特別な『ただいま』が、何よりも好きだった。
離れないで
どこにもいかないで
……誰のものにも、ならないで
温かい彼の腕の中で、まるでこの瞬間に魔法をかけるように、ただ、唱えていた。
．
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ひまちぃ(プロフ) - うさこさん» うさこさんありがとうございます！！コメントすごく嬉しいです😆次回作も力を入れて頑張りたいと思います！！ (2022年7月13日 19時) (
レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんわ。やっと仲直り😊いのちゃんの気持ちを思うと泣けてきちゃってずっと気になっていたのでハッピーエンドになって嬉しいです🙂次の作品も楽しみにしています。 (2022年7月13日 1時) (レス) @page49 id: f4957992c9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - Rinさん» ありがとうございます！！コメント本当に嬉しいです！！最近は更新頻度も落ちてきてご迷惑をおかけしていることは承知ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2022年7月8日 21時) (レス) @page45 id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - このシリーズすっごくすっごく好きです！！この後の展開が気になって仕方ない書き方をされるのでワクワクが止まりません！早く続きが読みたいです！待ってます！！ (2022年6月30日 19時) (レス) @page44 id: b5ace0fd89 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ぬんさん» コメントありがとうございます！！すっごく嬉しい感想で、静かに喜びを噛み締めてます……！！これからもどうかご愛読ください！！ (2022年6月19日 19時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ | 作成日時：2022年3月9日 12時
