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山田side
目に涙を堪えながら、
震える手を俺に伸ばしてくる彼に
思い切りそう叫んだ。
まるで被害者かのように、振り払われた手を見つめる伊野尾ちゃんに、我慢のならない憤激と名状し難い不快感が心を抑えつける。
「なに被害者ヅラしてんの……？」
「は……なん、で？」
「しらばっくれる気かよ。
……あんた他にも男いたんだって？」
「……ぃない……いないに決まってんじゃん！！」
見開かれた彼の大きな瞳から遂に大粒の涙が零れ落ちる。そんな愛する人の涙でさえも、その中に偽りの雫が混じっているようにしか感じ取れなくて、彼の言い分を聞こうともせず、俺は口走っていた。
「________ッもう伊野尾ちゃんとは別れる。」
自分でも言い終わった後に、若干の焦燥感は感じた。
でも、さっきの知念の涙を思い出したらすぐにそんな後悔も薄れて、一切言葉を発しない彼を無視して、メンバーに状況を説明する。
「……こいつ、言い寄ってくる男みんなに抱かれてんだってさ。……信じてたのは俺だけで、愛してたのも俺だけで、こいつにとっては俺もいっぱいいる中の1人っていう認識らしいから。」
「いや、でもいのちゃんはそんなこと……。」
「涼介っ……なんだか凄く弄ばれてるみたいで、見てらんなくて……。」
まだ伊野尾ちゃんの肩を持とうとするメンバーに、
小さく震えた知念が涙目で訴える。
知念の声は涙で揺れていて
それだけでいかに一生懸命か伝わってきた。
やがて、伊野尾ちゃんの周りにいたメンバーも、段々と俺たちの主張を呑み込んでいき
最終的には、全員で
伊野尾ちゃんを責める形になっていた。
「伊野尾、お前聞いてんのか……！？」
「あのさ、マジでやってる事最低だって分かってる？」
「ぉ、れ……ゃ、ってな…… 」
「はぁ！？知念がこう言ってんじゃん！
……お前メンバー泣かせて楽しいか！？」
人一倍責任感の強い薮ちゃんや、ひかは本気で伊野尾ちゃんに憤慨していて、付き合いの長い2人にこんなに責められる事が、今までなかったであろう伊野尾ちゃんも、自分の左胸を抑えて、困惑していた。
……ああ、なんで。
なんで俺の心臓も大きく脈を打つんだ。
よかったじゃないか、こんな不埒な人間と別れられて。悲しいなんて幻想、早く捨ててしまえ。
苦しむべきなんだこの人は。
「……ゃって、ないの……ほんとに……。」
みんなの怒号の中に溶けてしまう程
小さく、か細い声に気づいた人は、誰もいなかった。
．
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ぽぽ - 何回も何回も読んでは泣いてを繰り返しています。最終話まで必ず待ち続けます！ (2023年4月2日 14時) (
レス) @page22 id: 2356846dec (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ぬんさん» コメントありがとうございます！！内容自体も模索しながらの執筆となりますが、これからも楽しみにしてもらえると幸いです💓 (2022年9月13日 6時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 何回読み直してもめっちゃ泣けるほど好きです😭結末がどうなるのかめっちゃ気になってしょうがないです！！ひまちぃ様の作品全部毎回読み返すくらい書き方が好きです！最終話まで待ち続けます👮 (2022年9月13日 0時) (レス) id: 9851ed22ed (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - mojyabucchantさん» コメントありがとうございます！！こんな超超超亀更新作品をそんな風におっしゃっていただいて嬉しい限りです！！なるべく更新続けていけるように頑張っていきます！！ (2022年9月7日 21時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
ひまちぃ(プロフ) - ふぅいさん» 返信非常に遅くなってしまい申し訳ありませんでした。コメントありがとうございます！！一文字一文字何度も読み返して嬉しさに感じ入っております……。ふぅいさんのお言葉に私もモチベを刺激されながらこれからも精進して参ります！ (2022年9月7日 21時) (レス) id: aaba219193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまちぃ x他1人 | 作成日時：2021年8月11日 22時
