ひたすらに（ランドールside） ページ35
「ん……？」
どこからか音が聞こえた
音は魂から響いておりそっと手を触れてみると眩い光に包まれ俺は目を瞑った
『……あ？』
次に目に入ったのは民家だった
穏やかな日和
整頓された家具達
そして本を前に座る赤ん坊のガキ
『おいおい何だこりゃあ……とうとう幻覚でも見始めたか……？』
自分の姿を見ると体が透けていた
傍にはあの魂
俺は色々試した
物に触ろうとしたり、騒いでみたり
物には触れなかったし騒いでも周りには一切聞こえない
そして、ガキの半径2m圏内から出られない
それが決定打となって理解した
この傍にいるガキこそが俺の体になる筈だった者でありこの家がこのガキの家であると
ガキってのはお前らが呼ぶラドルの事だ
ラドル・B・オークスと名付けられたコイツもまた前世の記憶を有していた
あぁ、こいつの記憶は知らねぇよ
生憎記憶の共有はされてないんでね、俺も知りたいが知らん
とにかくコイツはそれ故に弱冠一歳で言葉を覚え、発音こそ辿々しがったが言葉を操り本も読めた
そしてその知識は自動的に俺に流れ込み、俺もその知識を得る事ができた
この世界は魔法があり、自分のいた世界とは全くの別物だった
俺は動ける範囲でコイツが勉強しているのをいい事に動ける範囲で知識を取り入れた
開けっ放しの本を盗み見たりコイツが見ていない物を見てみたり
甘い汁啜ってズルだと思うか？
馬鹿言え
いくら知識が流れ込んでくるからって万能じゃない
それを取り入れ理解し整理するのには時間を要する
だから俺はコイツが無尽蔵に取り入れる情報の山を死ぬ気で物にしていった
たまに忘れることもあったがコイツもまた努力の塊の様な奴で何度も何度も繰り返し復習したりしていたから俺に知識が定着するのも早かった
俺が世界を見ていられるのはコイツが起きている間だけ
でもコイツが眠っても俺は活動できた
睡魔も来なければ疲れもしない
幽体様々って奴か？
だから俺はコイツが寝てる間に知識を整理できた
そんな毎日を何年も過ごした
誰と話す事もできず孤独に、ひたすらに
全てはいつかコイツから体を取り戻し俺の人生を歩み始める為に
そして更なる転機が訪れた
それはコイツのエレメンタリースクール入学式の日の事
コイツはお前らも知っての通り気弱でなよっちくていい鴨だ
そんな奴をみすみす逃す悪ガキはいない
「友達沢山作るぞー！」とか意気込んでたコイツは初っ端危機に陥った
その時だ
「あ？」
体がコイツに引っ張られた
生まれる前にあった体の感覚がわずかに戻った気がした
が、その後ヒーローが現れて呆気なくその感覚は消え失せやがった
遂に（ランドールside）→←やり直すチャンス（アズール&ランドールside）
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あんかけうどん(プロフ) - Aliceさん» 嬉しすぎる言葉をありがとうございます！ランドールはいいぞ……是非映画の方もご覧になってみてください。インク→ユニバーシティ→インクの順に見るのがおすすめです！ (2021年12月25日 16時) (
レス) id: 91a4551153 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - クリスマスに一気に読んでしまった､ランドールの魅力をこの小説で知れました､ありがとうございます！ (2021年12月25日 14時) (レス) @page32 id: 31d32091d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんかけうどん | 作成日時：2021年12月16日 10時
