ランドールの魂を宿した僕は転生者（twst男 not監督生）

記憶にない ページ10

(いやいや落ち着けラドル、相手は自分の3,4倍はある。捕まえるなら何か策を考えなくては……)

とはいえ何を……
チラッと鉱石魚を見る
奴は透明な僕にまだ気づいていない
なら……
僕は鉱石魚を一匹取り出すと魔法で骨だけを取り出す
勿論宝石部分は網に戻した

(こいつを奴の小さな脳みそにでも突き刺してやれば即絶命するよな……よぉし、覚悟しなクジラちゃん？)

そろりそろりと岩づたいにクジラに近づき背中に乗る
奴の皮膚は鈍いようで乗っても気づかれなかった
尤も、気配を消しているので気づかれる訳がないが

(さぁこれであの世行きだ。じゃあな……！)

僕は奴の背中に骨を突き刺した
……が

「Geaaaa！」

「どわぁ！？」

脳みそを突く事なく、僕はクジラに飲まれてしまった

(まずい！海中呼吸の薬は後ちょっとしかもたないのに！)

一気に目の前が冴え渡る
なんて無謀な事をしたんだ僕は！
だいたいこんなの捕って帰れる訳ないだろ！
どうした僕！普段の冷静さをどこに捨ててきた！？
欲に目が眩んでクジラを襲うなんて！

「にしてもどうしよう……このままじゃ死ぬ……」

歯茎の裏にしがみついて噛まれるのを回避しながら考える
どうしよう
生きて帰りたい
こんな所で死にたくない
前世とは違うんだ！
素敵な両親に素敵な友達にも恵まれた今を手離したくない！
そんな願いと死への恐怖で頭がおかしくなる
何かないか何かないか
何でもいい

『「もう負け組は懲り懲りなんだよ！」』

ーーーーーー

「ハッ！」

いつの間にか僕は砂浜で寝ていた

「ゆ、夢？それとも天国？あ、痛い。死んでないし夢でもない。」

頬をつねればツキりと痛みが走る
ダメだ記憶がない
僕は必死にクジラの歯の裏にしがみついていた筈だ
なのに今は……って

「おいおい嘘だろ……」

見上げてみると僕の隣であの大クジラが脳天をぶち抜かれて死んでいた

ーーーーーー

「ラドル！メモの材料全部採ってくるなんて！特に鉱石魚なんて気配０にしないといけなかったでしょうに凄いわ！おまけに人魚を食い荒らしてたクジラを退治して表彰されるなんて！でももう二度と相談なしに危ない事しないでちょうだいね！」

「ご、ごめんなさい……」

あれから警察が来て話を聞くとあの辺りの海は今危険区域に指定しようという話が出ていた程多くの人魚や観光客が食われており、それを倒すのは並の魔法師でも難しいらしかった

「君は素晴らしいよラドル君！ここに感謝状を贈呈します。」

僕はそれを困惑半分に聞いていた
だって記憶がないんだもの
おかしいなぁ……

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