ポジションが悪役令嬢だなんて聞いてません！

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「これからよろしくお願いします」
「大変だったろうけどもう大丈夫だからね」
「あぁ、家族だと思って楽に過ごしてくれ」


ぺこりとお辞儀をして頭をあげる目黒蓮。見た瞬間に思わず口がニヤけそうになってしまったが必死に耐えた。だってこんなに可愛いとは思っていなかったんだもん。


きゅるきゅるとしたおめめに緊張しているのか少し垂れ下がった眉、破壊力がすごい。


「こちら、私たちの娘の」
「Aと申します、よろしくお願いします」
「A様、よろしくお願い、します」
「蓮くんの1個上だから歳も近いし仲良くしてくれると嬉しいよ」
「はい」


ぺこりと上品に頭を下げればもう一度深くお辞儀をしてくれる蓮様。その姿は学園生活で女をはべらせている面影が一切ない。やっぱりAが原因だったんだな、と改めて身に染みる。

うーん、今はそういう行動をしていないとはいえやっぱり器は目黒蓮をあんな闇落ちさせてしまった彼女のものだから罪悪感がすごいな。


「屋敷の案内は……」
「私にお任せ下さい」


後ろに控えていたメイドのひとりが身を乗り出してくる。目がギラついていていかにも狙っている感が満載だし彼女の後ろにいるメイドさんは抜けがけしたな、という目で飛び出した彼女をみている。

女の世界って怖い。


「そう？ じゃあ任せるわね、蓮くんもそれで大丈夫かしら」
「はい」
「お任せ下さい、では行きましょう」


嬉しさが表情からにじみでている彼女と困惑の表情を浮かべてそれについて行く蓮様。それを羨ましそうに見るメイド数名。めんどくさい事になりそうだな、と少しだけ彼に同情した。

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