◇ ページ20
＿＿＿＿
＿＿
「その、」
「！ はい、」
数分後、ようやく沈黙を破った彼から出された信号を聞き逃さないように耳をすませる。今ここで聞き逃してしまったら確実にこの後の私たちの空間は沈黙という名の地獄になる、それはダメだ。
「言いたいことがあって」
「なんでしょう？」
「………」
「………？ え、えっと」
食い気味に聞き返せばぐっと黙り込む翔太様の瞳はゆらりゆらりと揺れている。そして意を決したように口を開く。
「……A様はなん」
「お話中失礼します、」
「……」
突然、第三者に会話が中断させられた。
翔太様は目を丸くしたあと話し中なんだけど、と不機嫌そうな目でメイドの方をみている。私も私で彼が何を言うのかドキドキしていた心臓を別方向から刺された感じがしてドッと疲れた。
メイドは私に一礼したあと彼にだけ聞こえるように耳元に近づいて何か話して＿＿＿
「……はぁぁ嘘だろ！？」
「！ ……っけほっ」
「っすみません、ちょっと席を外します」
「え、えぇ、わかりました」
突然大きく目を見開いて大声をあげる翔太様。突然の大声にびっくりして紅茶が変なところに入ってしまったがそんな私に気づかないのかひとつ断りをいれてその場を早足で去ってしまった。
「A様、大丈夫ですか？」
「あぁ、うん。変なところにはいっちゃっただけだから」
雪乃に背中をさすられて咳もだんだんと落ち着いてきた。でもそのことは正直どうでもいい、彼が私の前で取り乱したことの印象のほうが強すぎる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1394人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マスコット - 大好きな作品です(*^^*)もう更新されないんですか？めちゃくちゃ気になります (4月23日 2時) (
レス) id: f0407dfffe (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 何度も読み返してニヤニヤしちゃってます。続き楽しみに待ってます✨ (7月3日 7時) (レス) @page40 id: e9ef2b1857 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 更新楽しみにしてます🥺 (6月20日 15時) (レス) @page40 id: e49244e76b (このIDを非表示/違反報告)
kazunoko(プロフ) - 3週目突入しました笑更新楽しみにしてます！ (2023年3月12日 17時) (レス) id: 38c9d09af9 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - uzuuzuさん» 応援ありがとうございます！励みになります🤍 (2023年3月3日 19時) (レス) @page40 id: d035e17497 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：時雨 | 作成日時：2023年2月7日 22時
