ポジションが悪役令嬢だなんて聞いてません！

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「ちょっとまって一旦考えさせて」


誰もいない部屋でぽつりと呟く。


「なにこれ、なにこれなにこれ」


突然流れ込んできた記憶。頭がパニックになってガンガンと警告を鳴らすかのように痛みが増していく。そうじゃん、私日本でOLしてたただの一般人女性じゃん。


なのになんでいまこんなフリフリとしたドレスを身にまとってくるくるとミルクティー色の髪の毛を可愛く靡かせているのか。


「……成り代わり転生じゃん……しかも私の好きだった『SNOW LIFE』……」


『SNOW LIFE』というのは私が転生する前、日本ではやっていた乙女ゲーム。平民だった主人公が頭がいいからという理由で特待生という形で白咲学園に入学するところから始まるストーリー。


白咲学園はいわゆるお金持ち学校というところで各地から集められたご令息、ご令嬢が一般教養を身につける場所。そんなお金持ちに囲まれた生活で四苦八苦している主人公を助けてくれるのが9人の攻略キャラである。

なんともありきたりな設定だけど、その無難さが面白くてついついドハマリしてしまった。なんなら死ぬ間際まで考えていことはその事だったわけだし。

じゃあその世界に転生できたなんてラッキーだね、なんて言われるかもしれないが全然違う。だって、だって、これって。


「悪役令嬢じゃん……」


そう、乙女ゲームには欠かせない悪役令嬢ポジション。主人公の恋路を邪魔したり主人公に嫌がらせをしたりと所謂お邪魔キャラである。悪役令嬢の嫌がらせから発生するイベントはだいたいキャラクターたちの男らしい姿が見れるためとても好きだった。


「でも自分がなりかわるのは違うじゃん！！」



ははは、なんかいっそ笑えてきたな。



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オーケー、落ち着け、まず情報を確認しよう。

私が成り代わった悪役令嬢は白鳥A。なんで名前が日本風なのに舞台が西洋モチーフなのかはこのさいどうでもいい。ゲームの制作陣に言って欲しい。

この白鳥Aという悪役令嬢、まさかの悪役令嬢のトップポジションである。そう、つまりどういうことか。




「断罪イベントがある……」


しかもほぼ全ルートある……。いやなんでよ白鳥A。なんで断罪ルートがほぼ回避不可能なの？ しかも良くて国外追放ルート、悪くて終身刑ルートってなに？ どう試行錯誤しても幸せになれない。どうして2週目の人生をこんなハードモードで生きていかないといけないのか。

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