ポジションが悪役令嬢だなんて聞いてません！

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「………」
「………」


どくり、どくりと心臓が大きな音を立てる。
起きているのがバレていないか心配になってチラリと彼の方を向くとバレている気配は一切なくて、どこかぼーっとしている様子。

なんで急にこんなところにきたんだろうとか、メイドさんは一体どうしたんだろうかとか様々な疑問が浮かぶ。


蓮様は大きく伸びをした後に私の方をちらりと向いた。

まさか起きてるのがバレたかと思ったがすぐに別の方向をみて当たりをキョロキョロと見始める。バレなくてよかった、いや別に何もやましいことは無いんだけども。


「……メイドさんたちにバレないかな」


不安げにぽつりと呟く蓮様。おそらく構い倒すメイドさんたちが嫌になって逃げてきたんだろう。ここは本当に大きい木がぽつんとあるだけだしバラ園の方からは見えづらい場所だから。

まぁ私からみても鬱陶しかったし本人がそう思うのはあたりまえだよね。


「ここ、落ち着くなぁ」


ぽすり、と音を立てて私の近くに寝転ぶ。芝生に寝転んでるだけで絵になるのは言うまでもない。

そのまま数分もしないうちにすやすやと寝息を立てはじめてしまった。

メイドたちの猛アタックのせいで疲れている彼をなんだか起こす気にもなれず、ほっとく訳にもいかなくて悶々としながら私ももう一度瞼を閉じた。

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