白昼夢の羊 (ページ7)

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『…起きて、』

「ん…皇輝さん…？」

『着いたから』

肩を揺すられて、まぶたを持ち上げれば入ってくる皇輝さんの顔。

私はいつ眠りに落ちたんだろうか…全く記憶にないけど気付いたら寝ていて、目を覚ました今は日が登り外が明るくなっている

外ってこんなに明るかったっけ？空気ってこんなに美味しかったっけ？

久しぶりに感じるもの全てが新鮮で、ドキドキした

車を降りると、ここら辺は木々ばかりで…その中にぽつりと小さな家が建っていた。予想としては、山奥か何かだろう。都会の街並みではない。

「ここは、どこですか…？」

『さあ…どこだろうね』

「え？」

『立てる？怪我、酷そうだけど』

「多分大丈夫です…あの、手だけ借りても良いですか？」

家族からの暴力が毎日のように行われていたせいで自分で歩くのも若干不安定だ

迷惑かけるのも悪い…と思い、少ない要求をすると皇輝さんが手を差し出してくれた。

優しい人だな、とその手に自分のものを重ねた

『ねぇ、なんでそんなに楽しそうなの』

「だって外に出たの久しぶりなんですもん！楽しいじゃないですか！」

『…自分の立場わかってる？俺に何されるかわかんないのに』

「皇輝さんは優しい人だって、直感的に思ったんで！」

『能天気』

「へへっ、ありがとうございます！」

『別に褒めてないから』

「あれ？そうなんですか？」

『…ほんと調子狂う』