いいかもしれないg... ページ19
Aは本当に2週間分の胃の空きを埋めたと言っても過言ではないほどの、異様な量を食べきった。
キキョウは自分でも少し作りすぎたかもしれないと思っていた量を食べきったAに、とても感激していた。
キキョウ) 素晴らしいわ！うちの子の誰よりもいい食べっぷりよ！
A) とても美味かった！ご馳走様！
Aはキキョウの料理をとても気に入っていた。
美味しい料理でお腹を満たしていたせいでつい、機嫌が良くなっていた。そのために、このあとAは痛恨のミスを犯してしまった。
イル) そんなに気に入ったならずっと居れば？
A) それもいいかもしれないg…
ｶﾞｸｯ
ｽｰｽｰｽｰ
イル) …は？
Aは食欲が満たされたために電池が切れたように突然眠りについた。
間違いなく、Aにとって都合の悪い言葉を残して。
イル) …普通、この状況で寝る？
そう言いながらイルミは眠ったAをそっと抱き抱えた。
先程まで驚異的な速さで元気に料理を口に運んでいた少年が突然眠りにつく、という珍しい状況に、イルミ以外の、食卓に揃っていた家族は困惑していた。
が、イルミが部屋の外に出ていこうとするのを見て我に返ったキキョウが声をかけた。
キキョウ) …あぁ、イルミ？どこに行くの？お部屋かしら？
イル) うん。あ、そうだ、母さん今の言質取った？
キキョウ) 今の？…あぁ、Aさんの！えぇ！取りましたとも！良かったわね、イルミ！これでゾルディック家長男の将来も安泰だわ！
表情を綻ばせる母親を見て、いつもなら真顔でいるイルミまでもが、少し口元を緩ませているように見える。
イル) うん。
ﾆｺ
?!
見たことの無い兄の姿に弟たちは驚いていた。
そして兄は人生で初めて 恋 をしていると知った。
キル) (でも、あいつの言葉には続きがあった感じがすんだよな。)
食卓にいる全員が新しい家族が出来たことを喜んでいた。
ただ、2人だけを除いて。
1人は、眠りについてしまい知らないうちにどんどん大事な話に巻き込まれている気の毒な少年。
そしてもう1人、三男の白髪の少年だけはそんなAに同情していた。
キル) (…こんな時に寝るから悪いんだぜ。)
キルアは、兄の腕の中でｽﾔｽﾔと寝ている呑気な少年が運ばれていくのを見ながら、心の中でそう呟いていた。
＿
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作者名：シロ | 作成日時：2019年11月3日 22時
