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「 ────もん、」
「え?」
「……レオくんは仲間やけど、家族ちゃうもん」
止まらずに呟いた言葉。
レオくんの顔があからさまに戸惑って、笑顔が一瞬にして消えたけど、それを気にする余裕もなかった。
ただ、顔を上げていられなくて俯いた。
グッとペンを握る手に力がこもる。
はやく、早く、なんでも無いようにしなきゃ。
「……………ミヅキ、?」
隣でジュノンくんが動く気配がして、名前を呼ばれながら肩を掴まれた。彼の方を向くように力を込められるけど、こちらも負けじと力を入れて抵抗する。
と、その時
スタジオの扉が開く音がして。
「ねー、聞いてよシュントがさぁ」
ウンザリしたようなリュウヘイの声と共に、舜斗の「言うのナシだわおい」という低い声も聞こえてきた。
96ブラハウスからやっと2人の登場だ。
「……………………なに、みづなんかあった?」
なんていうか、流石幼馴染。
部屋に充満する妙な雰囲気を察したかな、てか私がこんな頑なに俯いてるからか。突然一層低い声で聞かれて、反射的に顔を背けて呟く「なんでもない」
「こっち向け」
「っ、なんでも、ない」
「……」
震える声が出て“しまった”と思った。
足早に近寄ってくる足音に、逃げようとしても時すでに遅し。私の真正面に回った舜斗がこちらの顔を無理やり覗き込む。
「…………誰に何された?」
「ちが、」
「ねぇ。ジュノンくんなんかコイツにした?」
「は、俺?……いや?」
「舜斗、違うってば、何でもない」
私の肩を掴んでるところを見られたジュノンくんに対して、威嚇のような空気を出し始めた舜斗に焦りが生まれる。
(なんでもないって言ってんのに、どうして聞いてくれないの)
ただでさえ収拾つかなくなってたのに、もっとややこしくなる。
「なんでみづは泣きそうにしてんの?」
「聞く相手間違ってね?ミヅキに聞いてみたら」
「……みづ」
「なんでもない」
「みづ、」
「っ、なんでもないってば。舜斗には関係ないでしょ、ほっといて…!」
しつこいよ。
そんな気持ちが一気に溢れて、言いたくもない言葉が良くない形で口から飛び出ていった。
「何ギレだよ。キレてちゃわかんねーよ」
眉間による皺と、地を這うようなドス声。
なんなの、この期に及んでまだ“わかんない”とか。
言えるわけないよ。
(聞き流せればよかった……)
そしたらみんなを不安にさせることも
舜斗を怒らせることも無かったのに。
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匿名感想
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befirst(プロフ) - あらしのよるに大好きすぎてなんっっかいも読み返しています!! (11月27日 20時) (レス) id: 73aa1688da (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» 書き手の私、超無意識に寿司桶空っぽにしておりました!たしかに、変わらず食欲旺盛で可愛い笑 おばあちゃんもおばさんも、きっとママから旦那がどんな人なのかは聞いていなかったんですよね…まさに神(読み手)のみぞ知る事実なのです、悔しいことに。 (5月17日 22時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - なかなかの内容なのに、きっちり寿司桶を空っぽにするモンさんを、愛してやまないっ(◕દ◕)そういえば、おばあちゃんも、おばさんも、生きてるとは言ってなかったなぁと、解説を見て思いました!天才っ!! (5月17日 15時) (レス) @page50 id: be11c96dd8 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - まおさん» まおさんありがとうございます♡登場人物の気持ちが大きくなればなるほど、描写を書いては消して……この人こんなこと言わんよな、もっとらしい言葉はないかなと考えながら書いているので、そう言ってもらえて嬉しいです。 (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - とんトンさん» ネタバレ私は大歓迎ですよー♡笑 わー、見てくれてるって嬉しくなりますしね!リルアワとのリンクも楽しんでいただければ! (5月16日 11時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年4月7日 23時