リルティングアワー4【BE:FIRST】

番犬、過ぎた心配 ページ43

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【久保舜斗】




舜斗何時に帰ってくんの?
いま撮影終わったぁ30分後くらいに家着くかななんで?
舜斗今日家行く
ん?わかった
舜斗ご飯食べた?うちに棒棒鶏サラダある
食べるぅ






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ツアーの日程が一区切りついて、BE:FIRSTは次のプロモーションに向けて水面下で動き始めている。そんな日程の中、Aは今日も自身が出演する連続ドラマの撮影で真夜中近くの帰宅になった。




「おいし！」

「ウーバーイーツした」

「おうちにあったんちゃうん？」

「……いーから黙って食え」




舜斗はそう言ってAの腕を掴んだ。
力加減を間違えれば箸が喉に刺さるところ。
「わかったから！」とAは身を捩った。

行儀が悪いと分かっていても、ソファの上であぐらをかいてご飯を頬張ると言うのは、疲れた身体に究極の贅沢に思えた。

幸せそうに手を止めないAに、舜斗は何故だかホッと胸を撫で下ろしている。




「今日泊まってくん？」

「うん」

「ほなちょっとゲームしよやぁ」

「またオーバークック？」

「そそっ」




俺の心中も知らないで、呑気なもんだ。と舜斗は思う。
そもそもが、彼の自分本位で余計な心配なのだが。


月曜日の夜。
毎週欠かさず見ていたドラマは、今日で5話目になる。

自分が見ているのは役であり、あくまでそれがAの演技と理解していても。

彼女と同じ顔した女の子が、終始泣きそうな顔で画面に映るのを1時間弱見せられるのは、舜斗には堪えるものがあった。




(んとーに、あの顔に弱すぎて笑う)




真っ赤に潤ませたあの目を見ると、自分はもう何も手がつかなくなって、一刻も早く彼女に触れて 片時も離れずに寄り添っていたくなる。

そんな衝動で連絡をして、いざ会ってみれば本人はオッサンみたいな体勢で大飯を食らっているのだ。




「…………飯食ってれば幸せでいいねみづは」

「う？」




両頬をパンパンに膨らませて、モゴモゴしながら首を傾げるA。言われた言葉の意味を理解していないのか、舜斗と目があってキュッと目尻を細める。

………………くそ、可愛いな。
リスみたいなことしてんな。

もう夜も更けている。舜斗の頭もまあまあ疲れていた。




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