リルティングアワー4【BE:FIRST】

怪物、今年広めた人脈 ページ23

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Aが冠で持っている番組のゲストに 友人が出演したことがきっかけで、A……ひいてはBE:FIRSTの名前が三浦の耳によく入るようになった。

『面白い子がいる』と、友人が珍しく人に興味を持ったように話す様子が新鮮で。その名を意識しているうちに、彼らはあっという間に自分と同じ土俵にまでやってきたのだ。

声をかけたのは三浦の方から。
紅白リハーサル1日目の楽屋で挨拶をすれば 彼女のみならず、ダンス世界タイトルを取ったことがあるというメンバーが、目を輝かせて握手を求めてきたっけ。

新人らしい振る舞いがあれど、彼らにはオーラがある。




(明日のレコ大も一緒だしなぁ、凄いことだ)




ほとんど後ろ盾など無いに等しい事務所の新人が、ハヤテの如く現れて。この業界に吹く新しい風には勢いを感じた。

が、しかし。
実際に話してみると、友人が言っていた『面白い』とは どうやら音楽云々というだけではなく、それも全部ひっくるめた人間性のことを指しているような気もしてくる。




「ミヅキ。ギターどう？調子いい？」

「っ！新井さん！あとで伺おうと思ってました！」

「いきなり声でかい(笑)」




三浦は思わず声を上げて笑ってしまった。
Aと世間話をして数分。楽屋の入り口にひょっこりと覗かせた顔に、先に気付いたのは三浦の方。「しーっ」と口に人差し指を立てる姿は、およそ30歳になったばかりの大人とは思えない。




(なーに、悪い顔して……)




そいつは忍足でAの真後ろまでくると、彼女を驚かせるようにいきなり声をかけたのだ。

驚いて反射で立ちあがろうとして、中腰のまま「お久しぶりですっ、教えてもらったやつたくさん練習して早く聞いて欲しいです！」と 会えて本当に嬉しそうな顔をするから、(ああ、こりゃ放っとけないわ)と三浦は思う。

この鬼才バンドのベース担当も、自分の友人と同じように随分彼女に肩入れしているらしい。




「今日常田いるから後で話そうよ。ミヅキに教えろって言ってあるから」

「ひっ……！」

「そんでボン・ジョビ聞かせてよ」

「ぎ、ギター持ってきてないです……！」

「常田のやつ使えばいいよ」

「ひっ？！」

「ふふっ……あーでも、あいつ自分の触られたら怒るかな」

「？！？！」

「おーい。あんま苛めないの」




Aの反応を楽しんでいる様子の新井。完全におもちゃにされている様子を見て、三浦は仕方なしに助け舟を出した。

本当は自分もAのギター演奏を見てみたい。『初心者とは思えねーんだよ、ロック魂があって』と友人が言っていた、その演奏を。




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