天秤、ときめきvs理性(k.kygk) ページ10
｢なぁ、今日なんかあったん？｣
お互いを確かめ合い夜も更けた頃、スマホを見ていたはずの彼が顔だけこちらを向く。
『なにかって？』
｢いや、今日ちょっと落ち込んどる風やったから、なんかあったんかな〜おもて｣
相変わらずのポーカーフェイスで。ただ瞳は心配そうにこちらを見ている。
『別に何かって言うほどのことはないけど…』
｢てことは何かしら嫌なことはあったんやな？｣
飄々として、それでいて他人の感情に敏感な彼には私のことなんてお見通しみたいだ。
｢話してや、A｣
そう柔らかく名前を呼ばれてしまうと、嫌とは言えなくなってしまう。
早々に隠すことを諦め、ぽつりぽつりと話し出す。
『あの、風斗さんは面倒くさいタイプの子は嫌なのかなって思って』
｢あ〜…まあ、｣
『それで、そう考えたらわたしって結構面倒くさいんじゃないかな〜と、思った…次第です』
おそるおそる顔を上げ風斗さんの方を見ると、きょとんとした顔でこちらを見つめている。
｢はあ、それで自分のどの辺が面倒くさいって思ったん？｣
『それは…こう…風斗さんは本当に私のこと好きなのかなって不安になったりとか、他の女の子と仲良くしてるの見て嫉妬しちゃったりとか』
｢そんなんかわええな〜くらいにしか思っとらんけどな｣
『嘘だ！だってたまに面倒くさいな〜って顔してるもん！』
｢好きな子のそんなん面倒くさがらんて、大体そう思っとったら今日かてわざわざ聞かんやろ｣
彼がため息をつく。ほら今も面倒くさがってるでしょ！なんて言おうと口をひらこうとすると。
｢あ、ほなええこと教えたるわ｣
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作者名：にくまん | 作成日時：2024年2月11日 20時
