真昼の夢 (ページ5)

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とかされる (k.kygk) ページ5

ほんの些細なことがきっかけだった。

｢お前って京極さんのこと好きなん？｣
同期に聞かれ、私は不覚にも慌てふためいてしまった。

『え、え、待ってなんで？そんなわかりやすい？！』
｢いや〜だって京極さんおるとやたら機嫌いいし嬉しそうやし、傍から見とったらめっちゃ分かりやすいと思うけど｣

確かに彼の言う通り、私は京極さんが好きだ。
でも誰にも言ってないしバレてないと思っていたのに…！！

『お願いだから京極さんには言わないで！バレたら生きていけない…』

｢俺が何？？｣
『ひぇっ！？』

耳元で急に大好きな人の声が聞こえ、わたしは飛び上がった。
｢あ、京極さん！お疲れ様でーす｣
呑気に挨拶をしている同期を尻目に、
『わ、わたしちょっとスタッフさんに呼ばれてたの思い出した…！！すみません失礼します！！』
脱兎の如くその場から逃げ出す。
最初から聞かれてませんように！と強く願いながら走った。

・

｢なあ、ちょっと話あるねんけど｣

『今日はあの、用事があって、また別の日でもいいですか？ごめんなさい！』

今週に入って何回目だろう、私は京極さんを避け続けている。

彼の言う｢話｣が私の好意に関することではない可能性もあるし、そうだった場合失礼過ぎる行為だということは重々承知している。
けれど、もし私の気持ちに気付かれていた場合のことを考えると面と向かって話せる気がしなかった。

だって、彼からの｢好き｣も｢ごめん｣も受け入れたくない。

本人に直接伝えたわけでもないのに振られてしまうなんて、哀れすぎるしこの先どうしていいかわからないし。

それにもし私たちが両思いで、京極さんも私をすきで…そんなことになったらもう、幸せが溢れすぎて今すぐに人生が終わればいいって思ってしまう。
勿論大好きな人の傍にいられたらとっても幸せだろうな、とは思うけれど。
好きだから付き合いたい、とかそんな単純な話ではないのだ。
今日はちょっと話せた、とか笑ってくれた、とか、そんなささやかな幸せを噛み締めるくらいがちょうどいいのだ。

それなのに。