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『なにその。2月14日 なんの日って……』
｢んー？俺が今日なんの日でしょうって何回も聞くからわざわざ調べて回答用意してくれとってん。かわええやろ？｣
それってもしかして。もしかしなくとも。
『な、…………』
｢さすがに気付いた？｣
顔をのぞき込まれる。
無理、今顔見られたくない。
反射的に手で覆うと、
｢なあ、俺ずっとAちゃんのこと好きやってんけど｣
チョコくれへんの？
耳元で囁かれる。
『ねえ、耳やだ…』
｢やめへんよ？やってチョコもらってへんし｣
お菓子をくれなきゃイタズラ、の制度はハロウィンのはずなのに。
彼の声色に潜む説得力に気圧され、ヨロヨロと力なく立ち上がろうとする。
が、耳朶を甘噛みされてしまい、力が抜けてしまう。
『ﾋｯ…わかった、わかったから…！ごめんなさい……っ！』
｢何への謝罪かは気になるけど、それええな。なんか唆るわ｣
『ねえ、もうやだぁ……』
半泣きになりながら訴えると、漸く彼から解放される。
｢あー……ごめん、やり過ぎたわ｣
珍しく彼がしゅんとしている。
いまだに何が起きたのか処理し切れていない脳から一生懸命言葉を引っ張り出す。
今素直になれなかったら一生なれないような気がしたのだ。
『わたしも、京極のこと…す、』
｢す？｣
『す、……き…………かも』
｢んはは、かもて｣
｢まあ、今はかもでもええわ。めっちゃ嬉しいし。んで、付き合ってくれるってことでええんよな？｣
一瞬にして彼がご機嫌に戻る。
『いいんじゃないの』
｢んー、今の俺幸せすぎてなんでもできそうやわ！｣
京極は、ご機嫌な効果音がたっくさんつきそうなほど嬉しそうで、こっちまで笑ってしまいそうになるのを必死に堪える。
｢んでお姉さん｣
さっきまでの無邪気な笑顔から一転して、急に悪いことを企む時の顔になった。
｢晴れて付き合えたわけやし、用意しとったチョコそろそろくれへんかな？｣
『…………ッ！』
なんでバレてるの！？！？！
『用意してないから……！！』
彼はケラケラと笑っている。
｢まあ、チョコより甘〜いもん食べれたし？別にええか｣
そんなことを言いながらさっき噛んできた耳をそっと撫でるので、
『ほんとに最悪！！変態！！！！』
やっぱり素直になるのって難しい！けど、反応を見て明らかに楽しんでいる彼にも問題はあると思う！
続く
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作者名：にくまん | 作成日時：2024年2月11日 20時
