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京極の家でお酒をあけ、お互い2本目に手を出したところでふと会話が止まる。
どうしよう、今までこういう時どうしてたっけ？ぐるぐると頭を回転させてみるも、どうしても思い出せない。
ああ〜もう仕方ない。完全にやぶ蛇な気もするが、背に腹はかえられない！
『ねえ、今日……』
｢なあ、今日……｣
完全に喋り出すタイミングが被ってしまった。
京極は俺ら仲良しやな、なんて言って笑っている。
『…………』
｢ほんでなあに？Aちゃん｣
『いや、京極も何か言いかけてたでしょ』
できれば言いたくなかったので、押し黙る。
｢Aちゃんの話先聞きたいねんけどな〜｣
『…………』
目線で促され、仕方なく口を開く。
『チョコレート、何個貰ったのかなって』
｢ああ〜……いくつやろな｣
『そういうのって数えないの？』
｢人によるやろうけど、俺は好きな子からもらうやつ以外は別にいくつでも変わらんしな｣
急に｢好きな子｣なんてワードが出てきて驚く。
『京極、好きな子いたんだ』
｢おるで？まあずーっと俺の片思いやけどな｣
『その好きな子、にはチョコ貰えたの？』
聞きたくないのに口が勝手に動いてしまう。
貰えた、なんて言われたらそれこそどうしよう。何、今日私は惚気を聞かせる相手として呼ばれたの？そんなの最悪すぎる。
｢貰えてへんよ｣
『そう、なんだ』
わたしの中での最悪の返事を回避した京極は、こっちを向いて寂しそうに笑う。
どうやら本当に片思いらしい。
だとしてもどうしていいのか分からないことに変わりはないが。
振り向いてくれない好きな子より、こんな日でも飲みに付き合うわたしにしてくれないかな、なんて思ってしまう。
｢完全に脈ナシではないと思うねんけどな〜｣
はあ、とため息をつきながら机に突っ伏す。
『ふうん、どんなところが？』
またわたしの口は勝手に動いてしまう。
京極の、好きな人の好きな子の話なんて聞きたくないのに！
｢素直にチョコくれたりはせんけど、仕方なく〜みたいな態度とりながらも飲みに付き合ってくれるところとか？｣
『は、』
私の他にもそんな人いたんだ。
｢なんだかんだ俺の話にも付き合ってくれるし｣
｢俺にはめっちゃ可愛い顔見せてくれるしな｣
｢スマホで2月14日 なんの日 って検索しとるとことかな｣
かわええよな〜なんて1人で頷いている。
いや、どんなところが脈アリだと思うのか、からどこが好きかの大発表会みたいになって…あれ、待って。
『え、今』
｢ん？｣
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作者名：にくまん | 作成日時：2024年2月11日 20時
