チョコより甘ければ (k.kygk) ページ13
×ツンデレ
♡ハッピーバレンタイン♡
｢今日ってなんの日か知っとる？｣
『セカンドオピニオンを考える日』
｢ほお〜、そうやったんや｣
朝から何度も繰り返されるこの質問。
もう5回は聞かれたと思う、本当に飽きない。
私が適当に返すと、彼はへえ〜とかなんとか言って去っていく。
そしてまた空き時間にこちらへ来て同じことを聞くのだ。
｢Aちゃん、今日ってなんの日でしょうか｣
『ふんどしの日〜』
｢んは、そうなんや｣
素直に返せない私も私だけれど。
でもお菓子作りは苦手、センスもないから選んだ物にも自信が無い。
少しはこちらの気持ちも汲んで欲しい。
｢なあ、今日って……｣
『予防接種記念日！』
｢ちゃうねん、そうやなくて。今日ってこのあと時間ある？｣
『え、』
突然変化球を寄越してきた彼の意図を探るべくじっと見つめる。
｢そんな手負いの猫ちゃんみたいな顔する？｣
『猫じゃないし。…別に空いてるけど』
あちらから見つめ返されるのに耐えきれず、顔を逸らしつつ返事をする。
今日という日に誘われたことの嬉しさが顔に出てしまわないように気をつけながら。
｢よし、じゃあ今日終わったら一緒に俺ん家帰ろな〜｣
『待って、京極の家、なの？』
｢おん、あかんかった？｣
久しぶりに二人で飲みたかってんけど、と言いながら首を傾げる。
ダメじゃない、けれど。でも！
『別に、ダメなんて言ってないでしょ』
｢そう？じゃあ忘れんでな〜｣
ああ〜、あとで絶対後悔する癖に頷いてしまった！
京極からの今日なんの日でしょう攻撃が一旦終わったことに安堵しつつ、夜の約束への緊張をどうにかしようと試みる。
二人で京極の家で飲むのは初めてではない。
が、彼のことが気になり出してからは初めてで。
今までどんな風に接していたのか、思い出そうとすればするほど分からなくなるのだ。
先程上手くかわせず頷いてしまった自分を呪いながら、帰る用意をはじめる。
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作者名：にくまん | 作成日時：2024年2月11日 20時
