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目の前の光景に思わずこくりと生唾を飲み込んだ。
豪勢な作りの建物にきらびやかな衣装を身に纏った男性達とそれを品定めするように、楽しそうに見て回る女性達。そしてあちこちにある提灯から漏れる光。
自分とは縁のない、妖艶なその世界に思わずたじろいだ。
「ここが、新吉原…」
そう呟いたわたしの言葉は誰に届くこともなく、人々の賑わいに掻き消されていった。
＊＊＊
「わたしが？新吉原に！？いやいやいや、無理ですって！！」
思いがけない上司の言葉に、いやいやとぶんぶん首を振った。
「ああ。最近妖関連の事件が増えてきている。ああいった良くも悪くも人々の感情が強い場所では、そういった事件も増えていくだろう。」
そんなわたしを意にかえさないように言い放って彼女は煙管の煙を吐き出した。
今からおよそ150年ほど前、この世界の男女の均衡が崩れ、同時にいままで世界を隔てていた妖が人の世に現れるようになった。今では男性の数が大幅に減り、結婚できるのは一部の良家だけとまでになったほどだ。家の主も、働き手も女性となった。そして、人に悪さをする妖も現れたことでそれらを祓う、人より霊力の高い者がなる祓い師というものが生まれた。かくいうわたしも祓い師として働いている。
そして新吉原とは、疑似恋愛を楽しむというのに加え、旦那を貰うことができない女性が子種を貰うための場だ。わたしには縁がなさすぎだし、こんなへっぽこ下っ端に頼むなんてどういうつもりなんですか。
「わたしに務まりませんって！あんな怖いとこいけないです！！」
「大丈夫だ。遊郭にはもう話をつけてあるし、理解もある。他の遊郭にも人をやってあるから気を負うことはない。いつも通り仕事をしてほしい」
そういうと、ふと彼女の雰囲気が張り詰めたため、思わず背筋を伸ばした。
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まつり(プロフ) - めちゃくちゃ好きな感じのお話で今後がすごく楽しみです！お身体に気を付けて更新ファイトです！！！ (2020年4月26日 0時) (
レス) id: dc65f13ca7 (このIDを非表示/違反報告)
しおた(プロフ) - わたぐもちゃん@推しが尊い連盟さん» ありがとうございます！拙い作品ですが、頑張ります！ (2020年4月7日 17時) (レス) id: 4a32e0fe09 (このIDを非表示/違反報告)
わたぐもちゃん@推しが尊い連盟(プロフ) - すごく素敵な作品ですね！！！妖とかいろんな世界観が素敵で………応援してます！ (2020年4月5日 11時) (レス) id: f4327bfb3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおた | 作成日時：2020年4月4日 22時
