世界で一番大切な君〈あかがみん watoさん〉 (ページ50)

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嫌い　　わとside ページ50

貴「ちょっ、な、何！？離してよっ！！」

必死にAは俺に抵抗する。

必死に抵抗しているAに俺はふと小さな声でつぶやいた。

わ「なんで……なんでアイク、アイクって……。なんでアイクさんばっかりなん？」

ずっとAはアイクさんのばっかりしよる。

走ってきたからか、まだ少し呼吸が速いA。

その吐息さえもかかる位の至近距離。

ずっと一緒におったけどこんな近くまで寄ったのは初めてやった。

貴「なんでって……大切な人だからだよ。アイクは私の大切な人なの。」

Aはそう、はっきり言った。

キッと睨みつけてくる。

朝は睨む姿さえ可愛かったけど。

薄暗くなってきた今では、本気で俺を嫌うかのような目に見えて怖くなった。

大切な人、かぁ……。

じゃあ……

わ「なら、俺は？」

俺はAに詰め寄る。

本音が聞きたい、けど………

嫌われたくないけん。

俺の質問にAは答えられずに固まってしまった。

なんなん？

アイクさんの時は即答やったのに。

貴「え、えっと……」わ「ならさ。」

やっとAが振り絞った声を俺は遮った。

わ「ならさ……

俺の事、好き？」

グッともっと顔をAに近づける。

互いの息をする音もきこえる。

心臓の音が聞こえてしまうくらいの距離。

わ「俺はさ………」

もう、言ってしまおう。

勇気を振り絞って口を開いた時だった。

バッとAに腕を振り切られる。

Aを見ると震えながら目にたくさんの涙をためていた。

そして走って俺から離れるともう一度、俺の方に振り返って涙をこぼしながら言った。

貴「わとなんて大っきらい！！」

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________俺が一番、聞きたくなかった言葉を。