世界で一番大切な君〈あかがみん watoさん〉 (ページ31)

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君の涙　アイクside ページ31

自分たちはそれから下駄箱で靴を履き替えて校庭へ出た。

わとさんがいる門に近づくにつれて明らかにAは様子が変わっていった。

ア「大丈夫？A、なんか顔が強張ってるけど……。ほんとにわとさんとなんかあったんだね？」

心配になってAの顔を覗きながらそう問いかける。

貴「いや、あったっていうか……そんなのもうかなり昔の事だけどね。」

昔、かぁ……。

自分とAは、高校に入ってから知り合った。

小学校も中学校も違ったし。

けど、わとさんとはそんな昔から一緒だったんだ……。

自分が知らないAの事をわとさんは知ってるのか……。

パッとAの方を見るとさっきよりも後ろを歩いてて。

いつの間にか自分に隠れるようにしていた。

少しだけチラッとAの方を見ると門の方に目を向けていた。

自分もつられてわとさんの方を見ると可愛らしい女の人がわとさんと話していた。

そんな二人の姿を見てAはまた表情を曇らせた。

そして手で心臓らへんをおさえながらまた自分の後ろに隠れてくる。

そして、ついにわとさんとすれ違うとき、聞こえた。

『私、わとくんの事が好きなのっ！付き合ってくれないかな。』

って。

きっとAにも聞こえてた。

反射的にか、Aは振り返ってわとさん達の方をみて……

涙がこぼした。

ア「えっ！？ど、どうした？なんで泣いてるの？」

びっくりしてAの顔を見る。

貴「ど、どうして泣いてるんだろ？なんか今日の私、おかしい、よね……」

涙を必死に手で拭いながらAは無理やり笑顔をつくる。

ほら。

Aの作り笑顔、また出たよ。

自分達の横を通り過ぎる人たちはみんなAの方を見てて。

「アイクがAのこと、泣かせてんじゃない？」って言う声も聞こえてきた。

そんな風に見えてるのか。

ならさ、いっその事さ………

ギュッ

ア「こうしてれば見えなくない？泣き止むまでずっとこのままでいてあげるから。」

こうしちゃえば良くないですか？