財布 ページ1
────ドンッ
『あら、ごめんなさい』
「あ、そ、いえいえ、こちらこそ」
フン、ちょろい。
鼻の下伸ばしちゃって。
スルリ、と男の胸ポケットに仕舞われているブツを抜く。
これで、4人目。
適当にタクシーを呼び、お酒を飲むためにバーまで行こうと思う。
いつの間にか、目が覚めれば知りもしない世界。
夢だといいのに、そう何度願ったことか。
酒はいい。
私を酔わせるくらいのお酒ならなお良し。
財布の中身は、合計すると20万くらいで、とりあえず1週間は不自由なく生活できそう。
.
.
.
「お客さん、お客さん」
『...あら、もしかして寝てた?』
「はい、到着しましたよ」
『これで、お釣りはいらないわ』
ありがとうございましたー、という声に押されタクシーから降りる。
ちらほらと辺りは騒がしく、警官がいる。
『ここ、通りたいんだけど』
近くに立つ警官に声をかけた。
見る限り、優男のような警官。
「あ、え、すみませんがここは通れません!」
『どうして』
「事件です、これ以上は何もお教えできません」
『ねぇ、あなた、お名前は?』
「は?」
いや、この人と初めて会ったけど、なんか知ってる。見たことある。
もしかして、この人...
『高木...渉?』
「なっ、なんで僕の名前を...」
『ということは...名探偵コナンの世界?』
ということは、この世界は江戸川少年がいる世界ということになり、あの黒いヤツらもいる、そういうことか。
これは、ヤバいぞ。
命の保証がない世界に来たというわけか。
「ちょっと、大丈夫ですか?」
『大丈夫、事件というのならこの道は諦めようかな...。あ、じゃあ、軽くご飯食べれるところ、近くにあるかしら?』
「えーと、ポアロという喫茶店があそこに...」
どでかく、“毛利探偵事務所”と書かれている建物の1階にポアロという可愛らしい喫茶店があった。
ちょっと待て。
進み具合によるが、ここにあの公安の犬がいたような...。
『ありがとう、それじゃあ、刑事さんもお疲れ様』
「はっ!お気を付けて!」
満面の笑みで敬礼ポーズをする彼。
あなた、優しすぎよ。
優しい男はいずれ、女に騙されるわよ。
なんて、思ってたら彼の後ろにいる女刑事。
確か、佐藤美和子。
...記憶が正しければの話だけど、ね。
『あんな、あまっちょろい人間が刑事だなんて......この世も終わりね』
早足でポアロへと足を進めた
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ルチア(プロフ) - 面白いです。更新待ってます! (2018年5月7日 1時) (レス) id: 371a1d1c70 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - 犯 人 と コ ン ト か よ www (2017年2月16日 23時) (レス) id: 06f3d584d6 (このIDを非表示/違反報告)
(。>ω<。) - 主のキャラが好きではまりました!更新応援してますね!! (2017年1月24日 15時) (レス) id: ea9f94ea93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒澤 怜 | 作成日時:2017年1月15日 18時