78.企み ページ34
部屋へ引きずり込まれてからすぐに椅子を指して「座れ」と彼は一言。
そして現在、大人しく椅子に座るAの背後では強い風の音を鳴らしながら爆豪が先に言ったように髪を乾かしてくれていた。
時折髪の合間に優しく指が滑っていく感覚と暖かい風がなんだか心地いい。
「それも魔具ですよね、緑谷さんのお店に売ってた気がします。使い勝手良さそう」
「言っとくがクソデクのとこで買った訳じゃねェぞ。あの発明女が感電させた詫びにとか言いながら置いてったやつだわ。....おら、終わった」
爆豪の言葉と同時に風の音が止んだかと思うと、一度髪の毛を乱雑に撫でてかき混ぜられる。
「わ」と小さく声が零れた次の途端今度は椅子からぺいっとベッドの上へ軽々放り投げられてしまった。
戸惑いと混乱につい「流石力持ち｣と絞り出した他愛ない言葉が口から出てしまったが、「ほざけ」と一蹴される。
勘違いだったら、自惚れだったら申し訳ないけれど彼が自分をこれからどうしようとしているのかなんとなくわかる、ような。
(どうすればいいんですか私は！)
そんなことを考えて間近にいる爆豪が何をしてくるのかと若干身構えつつぎゅうっと目を瞑ると、思いにもよらず爆豪の手が優しくAの頭を数度撫でた。
しかもそれきりで手のひらが離れていった。
「...今日、変に優しいですね...？髪乾かしてくれたりやけに面倒見てくれたり...今だって。...な、何もしない....から」
「何想像してたんだよ。何か、してほしいんか？」
「！！違う！違いますから..！そのニヤつき顔止めてください！」
これはからかわれているのだろう。
なんてずるくて意地悪い人だろうと唸ればまたもや手が伸びてきて、ほんの少しだけAの頬を爆豪の指先が撫でて行った。
「お前が意外にも恥ずかしがり屋で、キャパオーバーするとすぐ泣いちまうのも知っとる。だから今のうちに少しでも優しくしてやってんだろうが」
「キャパ...？」
「過度に触れたり口付けてやるとお前すぐに目に涙張んだよ」
そう言って不意にベッドから爆豪が離れていく
「だがそうやって優しくしてやんのもここまでだ。俺も風呂入ってくるから、上がってくるまで覚悟して待ってろ｣
要は我慢の効かなくなる前に優しくしてやったから効かなくなったらそうはいかねぇぞと、そういうことらしい。
みみっちいその行動自体もある意味優しい理由ではあったが。
そこまで考えてAは何も考えられなくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Panda - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年10月11日 8時) (
レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 続きも読めて嬉しいです♪ 傍にいて守ってくれる十傑かっちゃんカッコイイし、安心します(*´艸｀*) (2020年5月12日 18時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます！また新たな展開にドキドキハラハラで目が話せません…！！話や設定も面白くて、かっちゃんカッコ良くて、夢主さんも可愛くて好感持てます(*´∀｀*)とても好きです…！続きも楽しみにしております♪ (2020年5月11日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
はこ(プロフ) - 花帆さん» はわー！！！頑張ります〜！ (2020年4月28日 15時) (レス) id: 7ba8c7d6b1 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます！十傑かっちゃんとのこの後の展開もドキドキします…/// これからも心地よいペースでの更新を応援してますね(*´ω｀*) (2020年4月27日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はこ | 作成日時：2020年3月3日 12時
