60.好きな人 緑谷視点 ページ16
「Aさん？Aさーん...？...留守かな？」
昨晩Aさんが帰る時、彼女が店に置いて忘れていってしまったらしい小さなポーチを届けに家まで来たのだが、ノックをしてみても返事がない。
何か立て込んでいるのだろうか？とも思ったがそれでもいつもの彼女なら「ちょっと待っててください」「今行きます」と何かしら明るい声を返してくれる筈だ。
「...鍵開いてる。閉め忘れ？」
試しにドアノブを捻ってみたらそのままするりとドアが開いた。
そしてぎょっとしたのだが、そのドアの隙間から見える廊下に彼女の個性でできた宝石が点々と転がってる。
彼女が良いか悪いかどちらかの意味で泣いたということ。
かっちゃんから聞いたこの前の渓谷でのこともあるし、もしや何かあったのではと申し訳なくなりながらも家の中に一歩踏み入った。
そして転がるその水晶のような宝石を辿れば彼女の自室で、そして当の本人がベッドの上で少し目を腫らして眠っているのが見えた。
「あ...」
疲れているようにも見える、起こさない方がいいだろうと思い僕は壁際の棚の上に彼女の忘れ物を置いて、そっと玄関に向かった。
きっと今はそっとしておいてあげるのが一番いいだろうから。
なんとなく、なんとなくだけど彼女がそうなってしまった原因がぼんやりとわかる気がした。
「...あれ、かっちゃん？」
「...こいつの家で何してんだよクソデク」
ドア前でかっちゃんと鉢合わせになる。彼もAさんの元へ来たらしい。
「ちょっとAさんの忘れ物を届けに。Aさん疲れてるみたいで寝ちゃってたんだけどね」
「忘れ物...って、もしかして昨日あいつが夜中出歩いてたんはお前の店行ってたからか」
「うん、麗日さんと僕に相談があるからって。かっちゃんは昨日相当お酒飲んだんだって？上鳴君から聞いたよ、嫌な事があったのか知らないけど珍しいね」
そう言って少しかっちゃんの顔を見ればどうやら少しいつもの勢いが無さそうに見える。
「...あいつが相談って、なんのだよ」
少し眉を顰めて僕に問いかけてくる。
僕はいまいちそういう話に疎いけれど君とAさんには大分お世話になっているし、君にいたっては何年越しの付き合いだ。
きっと、
「好きな人に、好きだって返事を返したいんだって。
きっと君のことなんだろ？かっちゃん」
初めは竜族が苦手だって言ってた彼女が、君の話を嬉しそうにするんだ。
君には、彼女を笑顔にして欲しい。
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Panda - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年10月11日 8時) (
レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 続きも読めて嬉しいです♪ 傍にいて守ってくれる十傑かっちゃんカッコイイし、安心します(*´艸｀*) (2020年5月12日 18時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます！また新たな展開にドキドキハラハラで目が話せません…！！話や設定も面白くて、かっちゃんカッコ良くて、夢主さんも可愛くて好感持てます(*´∀｀*)とても好きです…！続きも楽しみにしております♪ (2020年5月11日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
はこ(プロフ) - 花帆さん» はわー！！！頑張ります〜！ (2020年4月28日 15時) (レス) id: 7ba8c7d6b1 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます！十傑かっちゃんとのこの後の展開もドキドキします…/// これからも心地よいペースでの更新を応援してますね(*´ω｀*) (2020年4月27日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はこ | 作成日時：2020年3月3日 12時
