ハコイリ娘と恋をします。2

ハコイリ 53 ページ3

＊




「友達できた？」




外の景色に夢中になっていると、
しょうりくんがわたしにそう尋ねる。




『うん！今日クラスの人とたくさん話せたよ！さっきの夕食も一緒に食べたし。』

「それはなにより。」

『この後実行委員会が終わったらみんなでカードゲームしようって約束もしたから、楽しみなんだ〜！」




実行委員会に行く前、グループ討議で同じ班だった田中さんを含めた女子みんなが誘ってくれて。

ほとんど話したことなかったクラスの子たちに誘われるなんて、思い出すと自然と口元が緩んでしまう。




「あんた、カードゲームのルールとか知ってんの？」




そんなわたしを見て、しょうりくんがそう問いかける。




『……し、しらない！！』

「やっぱり。」

『ど、どうしよう…？！』

「カードゲームって何？トランプ？」

『うん、多分…。』




わたしがそう言うと、しょうりくんは自分のジャージのポケットからスマホを取り出す。




「トランプでやることならだいたい決まってるから。王道のやつだけルール教える。」

『え、いいの？』

「せっかく誘ってもらったのに輪に入れなかったら意味ないでしょ。」

『しょうりくん…何から何までありがとう…！！』

「ミーティング始まるまでだけどな。」




そう言ってスマホの画面を見せてくれたしょうりくんは、
トランプのルールが書かれたホームページに沿って教えてくれる。

ババ抜き、神経衰弱、ポーカー、大富豪、ブラックジャック…

一つ一つ端的にわかりやすく教えてくれるしょうりくん。




窓際の席を譲ってくれたり、
トランプのルールもわからないわたしに、めんどくさがらず、こんなに丁寧に教えてくれるしょうりくんは、やっぱり優しいなぁ。

しょうりくんの優しさを改めて感じた瞬間だった。

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