ハコイリ娘と恋をします。2

ツンデレ 68 ページ18

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「あれ、きしくん！！」



ゼーゼー言いながら走り寄って来た岸がアイツの横に並ぶもんだから、俺は後ろに行くために緩めていた足のスピードをまた元に戻す。

聡と高島は「あちゃ〜」みたいな顔をして、聡は残念そうな顔をし、高島はほとんど面識のない岸を睨んでいる。

それよりも、二人同じ顔をして同情するような視線送られる方がキツい。



「こっち方向歩いてるってことはAちゃんたち、次第5エリア向かってる？」

「そうだよ〜！きしくんたちも？」

「うん。あ、こっちこっち！！」



そう言って岸は後ろで固まって歩いていた男グループを呼び寄せる。

でもそいつらは岸ではなくハコイリ娘の姿を見るとだるそうに歩いていた表情がみるみる明るくなる。

いや、わかりやすすぎかよ。



「Aちゃん、初めまして！」



すごい勢いで近づいて来た集団に驚いたのか、顔がこわばるハコイリ娘だったけど、

「おい、Aちゃん怖がらすなよ！」なんて言ってヒーロー気取りでアイツを庇うように間に入る岸。

俺は一体何を見させられているんだ？



「ごめんね、Aちゃん。」

「ううん、大丈夫。えっと、きしくん同じグループの人たち？」



ハコイリ娘がそう尋ねると、一人一人アピールかと言わんばかりに自己紹介し始める。

名前、出身中学、部活、好きなタイプ。
最後のは必要ないだろ。

高島にも話しかけたかったみたいだけど、とんでもなく話しかけるなオーラを出していたからか、岸集団は結局俺らの後ろでアイツを取り囲むように一緒に歩き始めた。



「俺がもう少し早く交代していればよかったね、ごめん、勝利。」

『いや、』

「わたしが声かけるのが遅かったから。悪かったわ、勝利くん。」

『だから、』



頼むから、そんな哀れみの目でこっちを見るな。

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